CA1116 – 著作権料金徴収の新方式(BLDSC) / 網野光明

カレントアウェアネス
No.211 1997.03.20


CA1116

著作権料金徴収の新方式(BLDSC)

1996年11月1日から,英国図書館文献供給センター(BLDSC)は,出版物ごとに設定された著作権使用料をユーザーから徴収することにした。これは,1995年4月27日にBLDSCとCLA(Copyright Licensing Agency)との間に成立した著作権使用料の個別設定方式に関する新協定を,より円滑に実施するためのステップである(CA1029参照)。

上記新協定は,BLDSCがCLA又は他の複製権管理団体(米国のCopyright Clearance Centerを含む)を経由して,出版社・著者ごとに設定された著作権料を支払うことを内容としていたが,当面,利用者からは平均値による一律料金(1件£5.25)を徴収することとし,個別料金徴収への移行が近い将来にあることを示唆していた。1996年の6月には,秋からの移行を予告し,いったん10月実施を計画したが,移行を円滑に行うため,11月1日のリクエスト受付分からの実施となったもようである。

当然のことながら,この方式は,著作権料を支払う必要のあるサービス(Copyright Fee Paid Photocopy Services)にのみ適用されるのであり,支払いの必要のないサービスになんら影響を及ぼさない。著作権料支払の必要の有無は,ユーザーの属する国,複製物の使用目的等により,決められている。これによれば,米国のユーザーすべて及び多くの国の営利的ユーザー(営利的ユーザーとは,その活動の第一義的な目的が,究極的に利益をあげることにある者をいう)は,著作権料支払を伴うサービスのみ受けられる。非商業的ユーザーは,研究又は個人使用目的かつ一部のコピーという条件で著作権料の支払の必要がない。

個別料金徴収方式は,出版社等とBLDSCの関係を,ユーザーとBLDSCの関係に直接反映させるものであり,著作権料に関する一連の処理をわかりやすいものとするという効果が期待されている。

では,個別料金徴収方式は,ユーザーにどのような影響を及ぼすか。

(1)リクエスト方式の変更   従来のプリペイド方式や郵便用リクエスト・フォームは,使用できなくなり,自動リクエスト方式(ARTTel,ARTEmail,Blaise等)により,かつ料金決済用の口座を開設する必要がある。料金が一律でなく,しかも複写製品を提供しようとする段階で初めて料金が判明するからである。ユーザーには,月ごとのインボイスが送付されることで口座管理が容易となる。

(2)コスト負担   リクエストの量が従来とほぼ同じとすれば,全体として支払金額は大きくは変わらないだろうと,BLDSCは予想する。この点は,実施後のフィード・バックが待たれるところである。

BLDSCは,ユーザーのためにKeyword Index to Serial TitlesBoston Spa Serials on CD-ROMといった出版物やBLのホームページに著作権料を掲載している。ホームページ上の,著作権料£10以上の雑誌約600タイトルのリストによれば,最も高いのは,Faculty Press(London)のBiomedical Letters等4誌で,1件あたり£97.45(1£=200円として,19,490円)である。ちなみに,これらの雑誌の年間予約購読料は,£150〜350である。

網野 光明(あみのみつあき)

Ref:Doc Supply News (50) 1996.6.
BLDSC Customer Update June 96/2.
http://www.portico.bl.uk/dsc/overlO/overlOc.html