E774 – 第二次「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」決定

カレントアウェアネス-E

No.126 2008.04.16

 

 E774

第二次「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」決定

 

 「子どもの読書活動の推進に関する法律」(平成13年12月12日法律第154号)に基づき,2002年8月に策定された「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」が(CA1638参照),策定から5年を経過したことを機に改定され,第二次基本計画として2008年3月11日に,閣議決定された。

 第二次基本計画では,第一次基本計画の成果として,全都道府県での「子どもの読書活動推進計画」策定,公立図書館と連携する学校が5年間で45.5%から52.5%へと大幅増加したこと,全校一斉読書活動を実施する学校の増加,12学級以上のほとんどの学校における司書教諭発令,などを挙げている。一方で課題として,学校段階が進むにつれ不読者の割合が増加していること,市町村レベルでの「子どもの読書活動推進計画」策定率にばらつきがあるといった取組みの地域差,学校図書館資料の整備が不十分なこと,子どもの読解力の低下,などを指摘している。また第一次基本計画策定後の5年間で,文字・活字文化振興法の成立,教育基本法・学校教育法の改正,中央教育審議会答申「新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について」(E766参照)を受けた図書館法改正に向けた動きなど,子どもの読書振興に関わりの深い法律の整備状況が大きく変化した。今回の改定は,このような課題と情勢の変化に合わせた内容となっている。

 改定のポイントのうち,図書館と関連の深いものには下記などがある。

  • 「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」の実践(CA1649参照)
  • 公立図書館のホームページ開設率を90%以上に,来館者コンピュータの設置率,OPACの導入率を100%に促進(E711参照)
  • 都道府県立図書館,市町村立図書館,学校図書館など関係機関とのネットワーク構築・市町村の推進計画策定率を24%から50%以上に促進
  • 小規模自治体への公立図書館整備促進
  • 公立図書館・学校図書館の資料,設備等の充実
  • 司書養成,司書研修の充実など公立図書館に関わる人材育成
  • 司書教諭の未発令校への発令の促進

 今回の改定では,主要施策に具体的な数値目標が設けられているほか,国,地方公共団体,家庭,地域,学校が自助努力するとともに,お互いの連携を強化して,社会全体で子どもの読書環境の整備・読書活動の推進へ寄与していく必要性が強調されている。

Ref:
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/03/08031005/001.htm
CA1638
CA1649
E766
E711