カレントアウェアネス-E
No.115 2007.10.17
E702
図書館員による図書館員のためのOPAC満足度調査
英国図書館・情報専門家協会(CILIP)の機関誌“UPDATE”の2007年10月号に,ハダースフィールド大学図書館のシステム管理者であるパターン(Dave Pattern)氏による“Are you happy with your Opac?(あなたのOPACに満足していますか?)”という記事が掲載された。パターン氏は,本のカバーの色で検索するOPACをブログで発表するなど,次世代のOPACシステムの考案に熱心に取り組んでいる1人であるが(E602参照),このほど自身が運営しているブログ“Self-plagiarism is style”を利用して,図書館員に対し自館のOPACへの満足度調査を行った。“UPDATE”に掲載された記事の内容は,ブログ内で行われたこの調査の結果を元にしている。なお,調査は2007年3月25日から2007年4月13日にかけて,ブログ内での私的な調査として実施され,英米をはじめ,レバノンや中国など世界中から全729件の回答が寄せられたという。
今回の調査から,図書館員たちが自館・他館のOPACに対して抱いている感想の一端を垣間見ることができる。例えば,
- 自館のOPACに対する満足度は,10を最高値として平均5.2であった。
- 全回答者のうち78%は,他館のOPACを見てうらやましいと思ったことがある。
- 自館のOPACが“流行の最先端”についていけていると感じているのが全体の3%に留まるのに対し,78%が自館のOPACは少なくとも3年は“流行遅れ”だと感じている。
- OPACの使い易さの重要度は10を最高値として平均9.2を叩き出したが,利用者にとってどのくらい自館のOPACが使い易いかの評価は,10を最高値として平均4.6に留まっている。
- 質問票に記載のあったOPACに付け加えるとよいと思う新機能のうち,平均して最も人気があったのは,一般のポータルサイトや検索エンジンに自館のOPACを埋め込むことであった。
といったことである。
いくつもの検索エンジンやウェブサイトがその機能を洗練し,利便性や新規性を競っている昨今,OPACの質を向上させることは,図書館が時代についていくためにも,また図書館の存在をアピールしていくためにも必要なことだと言えよう(CA1622参照)。今回の調査のようにOPACの自己評価といった取り組みが草の根の図書館員によって行われ,世界中の図書館員が個人としてそれに協力したことは注目に値するのではないだろうか。
Ref:
http://www.cilip.org.uk/NR/exeres/CC89E0D5-77DF-44E2-989E-98D76B809B77
http://www.daveyp.com/blog/index.php/archives/category/opac-survey/
E602
CA1622