E559 – 【連載】アジア・オセアニアの図書館事情:(8)ネパール

カレントアウェアネス-E

No.93 2006.10.18

 

 E559

【連載】アジア・オセアニアの図書館事情:(8)ネパール

 

 ネパールでは近年になってようやく,図書館を利用するという習慣が一般市民や学生に普及してきた。ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団の「学習へのアクセス賞」(E245E366E374参照)を2006年に受賞したNGO・READ(Rural Education and Development Nepal)など,地方における教育・図書館サービスを支援しているNGOの手によって,地方でも公共図書館が開設されはじめた。また,学校や大学も自前の図書館を持つようになってきている。

 図書館界も,ネパール図書館協会と,図書館情報学の修士課程を有しているトリブヴァン大学の図書館情報学同窓会(TULSSAA)の2つの職能・職権団体が,図書館と専門職を向上させるための活動を続けている。両者による図書館職員向けの短期研修のほか,TULSSAAが刊行する図書館に関する情報誌などがそれにあたる。またトリブヴァン大学の支援のもと,ネパール図書館協会が首都カトマンズに南アジア図書館協会地域連盟(REFSALA)を設立するなど,国際協力の試みも行われている。

 とは言え,図書館の整備はまだ十分ではない。国立図書館をはじめ多くの図書館は,図書館用に設計されたものではない建物に配置されており,日光やほこりに対する措置が取られていないといったインフラ面の問題を抱えている。またほとんどの図書館の蔵書は5万冊に達しておらず,国立図書館でも蔵書数は8万4千冊である。法定納本制度がないことから,全国書誌の刊行も困難であり,国内で最大の蔵書を有しているトリブヴァン大学中央図書館の目録や,2005年に国立図書館が8年ぶりに作成した総合目録が,その役割を代替している。

 このような状況を改善すべく,国立図書館は2006年1月,同館設立50周年の記念式典の際にワークショップを開催し,政府に対して図書館政策に関する案を提出した。ネパールに関しては政情不安が報じられているところであるが,この案が実を結ぶか,動向が注目される。


Ref:
http://www.nla.gov.au/lap/documents/nepal06.pdf
http://www.readnepal.org/
http://www.gatesfoundation.org/GlobalDevelopment/GlobalLibraries/AccessLearningAward/2006Award/default.htm
E245
E366
E374
http://www.tucl.org.np/
http://www.nnl.gov.np/news.php