カレントアウェアネス-E
No.64 2005.08.17
E363
IFLA,FRARの草案を公開
国際図書館連盟(IFLA)は7月27日,「典拠レコードの機能要件(Functional Requirements for Authority Records: FRAR)」の草案をIFLANETで公開し,Worldwideレビューを求めている。レビュー期間は,10月28日までの3か月とされている。
FRARは,「書誌レコードの機能要件(Functional Requirements for Bibliographic Records: FRBR)」(CA1480参照)と同様,実体関連分析による概念モデルを提示するものであり,典拠データを利用者のニーズに関連付けるための構造化された枠組みを提供すること,また図書館の内外を問わず典拠レコードの国際共有と利用の可能性(CA1521参照)を探ることを目的としている。
この草案では,FRBR同様,実体,属性,関連,利用者タスクの4点がモデル化されているが,典拠レコードと書誌レコードという対象の違いから,特に利用者タスクのモデルに相違点が見られる。例えば,FRBRにおいて書誌レコードに対する利用者のタスクは発見(Find),識別(Identify),選択(Select),入手(Obtain)の4種類と定義されているが,この草案では典拠レコードに対する利用者タスクとして発見(Find),識別(Identify),他の名称との関係の明確化(Contextualize),標目形決定の根拠付け(Justify)が挙げられている。最後の2つは,典拠レコードの直接的利用者として,典拠レコード作成者やレファレンス業務担当者を設定していることによるものである。
なお,この草案では,草案を作成したワーキンググループの第2の任務であった国際標準典拠データ番号(International Standard Authority Data Number: ISADN)の利用可能性については,まったく触れられていない。また件名典拠レコードも詳しくは扱われておらず,シソーラス分類体系とともに新たなワーキンググループにおいて検討が行われる,とされている。