E224 – 文学作品を読まない大人たち−米国芸術基金の報告書

カレントアウェアネス-E

No.41 2004.08.04

 

 E224

文学作品を読まない大人たち−米国芸術基金の報告書

 

 7月8日に米国芸術基金(National Endowment for the Arts:NEA)から発表された報告書「危機にある読書(Reading at Risk)」では,余暇活動として文学作品を読む大人(18歳以上)の割合が,1982年の56.9%から2002年には46.7%に低下したこと,特に1992年からの10年間に14%減少(1982-1992年は約5%減)していることから,米国の大人の文学作品離れが加速していると述べられている。

 これに対し,他の調査では公共図書館の利用者数や本の貸出冊数がさほど減少していないといった結果も出ていることから,必ずしも本そのものを読まなくなったわけではないようだが,報告書は,この傾向が続けば半世紀のうちに余暇活動としての文学作品の読書はなくなってしまうだろうと述べ,図書館などの文化施設に対して国家規模の活動の必要性を訴えている。

 読書の割合が減った理由として,報告書ではテレビやインターネットとの関係に言及しているのみだが,愛書家の中には,人々の同時に多くのことをやりたがる傾向に注目し,座って読書に集中することなどできないのだろうと言う人もいる。

Ref:
http://www.arts.gov/news/news04/ReadingAtRisk.html
http://www.ala.org/ala/alonline/currentnews/newsarchive/alnews2004/july2004ab/neareport.htm
http://www.ala.org/ala/pr2004/july2004/readingatrisk.htm
http://kennebecjournal.mainetoday.com/news/local/827967.shtml