E2113 – 東日本大震災後の図書館等をめぐる状況(2019/3/10現在)

カレントアウェアネス-E

No.365 2019.03.14

 

 E2113

東日本大震災後の図書館等をめぐる状況(2019/3/10現在)

 

 東日本大震災後の図書館等をめぐる状況について,本誌での既報(E2076ほか参照)に続き,2018年11月下旬から2019年3月上旬までの主な情報を紹介する。

●被災地の図書館等の活動

 11月30日,東京電力ホールディングス株式会社が,福島原子力事故の事実と廃炉事業の現状等を確認する場として,富岡町(福島県)に東京電力廃炉資料館を開館した。
http://www.tepco.co.jp/fukushima_hq/decommissioning_ac/

 12月19日,名取市図書館(宮城県)の新館がJR名取駅前の複合施設内に開館した。
https://lib.city.natori.miyagi.jp/web/event/1097
https://lib.city.natori.miyagi.jp/web/library/new-library

 1月,南三陸町図書館(宮城県)が,徳島県のNPO法人マチ★アソビから寄贈を受けた移動図書館車の試験運行を開始した。
https://www.town.minamisanriku.miyagi.jp/index.cfm/7,5975,c,html/5975/20181228-155751.pdf

 1月11日,須賀川市(福島県)で,震災による被害を受けた総合福祉センターに代わる施設として,図書館や円谷英二ミュージアム等から成る須賀川市民交流センターtetteがオープンした。
https://s-tette.jp/action/information/entry/005345.html
https://s-tette.jp/about/005277.html

 2月9日,双葉町(福島県)で,福島県による東日本大震災・原子力アーカイブ拠点施設の安全祈願祭及び起工式が行われた。
https://www.town.fukushima-futaba.lg.jp/secure/4243/2019-03.pdf

 3月10日,気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館(宮城県)が開館した。
http://www.kesennuma-memorial.jp/

●記録を残す活動・伝える活動

 11月27日,国土交通省東北地方整備局が,震災遺構や技術等のアーカイブ化等を含む,震災伝承ネットワーク協議会における震災伝承の取組について発表した。
http://www.thr.mlit.go.jp/Bumon/kisya/kisyah/images/73248_1.pdf

●デジタルアーカイブに関する動き

 国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(ひなぎく)に,以下のコンテンツが追加された。

  • 10月14日に開催された防災推進国民大会2018でのセッション「震災記録のポータルサイト~使ってみよう東日本大震災アーカイブ」の資料・動画・写真(12月27日)
  • 「平成30年度国立国会図書館と県立図書館の震災記録に関する協力連絡会議」の参加館の活動報告資料(1月28日)

http://kn.ndl.go.jp/static/2018/12/27
http://kn.ndl.go.jp/static/2018/09/061
http://kn.ndl.go.jp/static/2019/01/28
http://kn.ndl.go.jp/static/kyoryoku

●展示

 9月20日から2月24日まで,国立国会図書館及び上野文化の杜新構想実行委員会が,同館国際子ども図書館(東京都台東区)で展覧会「想起の力で未来を ホセ・マリア・シシリア「アクシデントという名の国」」を共催し,スペインの芸術家ホセ・マリア・シシリア氏が東日本大震災に関連して制作した作品等を展示した。
http://www.kodomo.go.jp/event/event/event2018-13.html

 9月25日から11月30日まで,育英大学・育英短期大学図書館(群馬県)で,企画展「新聞で振り返る 東日本大震災 ~大規模災害から防災を学ぶ~」が行われた。
https://www.ikuei-g.ac.jp/college/news/2018/002073.html

 「津波により被災した文化財の保存修復技術の構築と専門機関の連携に関するプロジェクト実行委員会」による展覧会及び関連イベントが,各地で開催された。女子美術大学杉並校舎(東京都杉並区)では,11月1日から11月16日まで及び11月19日から12月6日まで「甦る。ふるさとの宝物 津波で被災し修復された陸前高田市立博物館所蔵品」展が,東京国立博物館(東京都台東区)では,11月28日から11月29日まで「東日本大震災―津波で被災した文化財の再生の歩み―」展が,陸前高田市コミュニティホール(岩手県)では,2月6日から2月11日まで「ずっとずっとふるさと陸前高田―“奇跡の海”の漁撈用具―」展及び2月9日にシンポジウム「よみがえる文化財と博物館の復興」が開催された。
https://takanavi.org/wp-content/uploads/2019/01/チラシ裏.jpg
http://www.joshibi.ac.jp/about/joshibinews/4723
https://ja-jp.facebook.com/permalink.php?story_fbid=2687475041292591&id=900562079983905

 宮城県図書館の「東日本大震災文庫」で,11月11日から1月24日まで「震災と家族」,2月8日から3月8日まで「海外から見た震災/外国語で読む震災」と題したミニ展示が行われた。
http://www.library.pref.miyagi.jp/latest/events/exhibition/1254-shinsaibunko-201811.html
http://www.library.pref.miyagi.jp/latest/events/exhibition/1297-shinsaibunko-201903.html

 11月27日から12月9日まで,阪神・淡路大震災記念人と防災未来センター(神戸市)で,宮城県が主催し同センターが共催するパネル展「3.11ソレカラ~障害者・福祉職員の「あの日」と「ソレカラ」~」が行われた。
http://www.dri.ne.jp/post-11460

 2月19日から3月10日まで,盛岡市都南図書館で「3.11東日本大震災資料展」が行われた。
http://www.city.morioka.iwate.jp/event/event/1025628.html

●イベント,講演会,講習会,研究会など

 11月29日,群馬県立図書館で開催された第16回群馬県図書館大会の第2分科会「災害時及び復興における図書館の対応と役割」で,名取市図書館の加藤孔敬氏による講演「災害への対応:東日本大震災の経験から」等が行われた。
https://www.library.pref.gunma.jp/index.php?action=pages_view_main&active_action=journal_view_main_detail&post_id=408&comment_flag=1&block_id=2505

 12月1日,せんだいメディアテーク(仙台市)で,相馬高校(福島県)放送局の震災後制作作品上映を主たる目的とした任意団体「相馬クロニクル」及び3がつ11にちをわすれないためにセンターが主催する「相馬クロニクルダイアログ」第3回が,「つなぐ」をテーマに開催され,震災をテーマとした映像作品が上映された。
https://recorder311.smt.jp/information/58281/

 1月11日,東北大学災害科学国際研究所(仙台市)及び国立国会図書館が,同研究所で「平成30年度東日本大震災アーカイブシンポジウム-震災の記録を伝える~自然災害と防災教育-」を共催した。
http://kn.ndl.go.jp/static/2018/11/141

 2月17日,若林区中央市民センター(仙台市)で,仙台市若林図書館が主催するイベント「その場所の記憶を紡ぐ『RE:プロジェクト通信』を通じて」が開催され,被災地域の記憶を繋ぐフリーペーパー『RE:プロジェクト通信』執筆者らのトークと詩の朗読,及び震災文庫の紹介が行われた。
https://lib-www.smt.city.sendai.jp/index.php?key=jo200dglm-523
https://lib-www.smt.city.sendai.jp/?action=common_download_main&upload_id=2095

 2月17日,同志社大学今出川キャンパス(京都市)で,日本図書館研究会第60回(2018年度)研究大会のシンポジウムが,「災害時における図書館の役割 資料・情報を守り伝えるために」をテーマに開催され,名取市図書館の加藤孔敬氏による報告「災害と図書館,震災の経験と文献から学んだこと,お伝えしたいこと」等が行われた。
http://www.nal-lib.jp/events/taikai/2018/invit.html

 3月9日,仙台市泉図書館で,「あの日をわすれない~3.11から未来へ~」と題して,震災を描いた本等に関する講演が行われた。また同日,「防災おはなし会~しっておこう!こんなときには どうするの?~」も同館で開催され,防災の紙芝居や絵本の読み聞かせ,防災クイズなどが行われたほか,東日本大震災時の同館の写真や防災の本の展示が行われた。
https://lib-www.smt.city.sendai.jp/index.php?key=joqk5nyq4-579
https://lib-www.smt.city.sendai.jp/?action=common_download_main&upload_id=2147

 3月9日,青森市民図書館で,「被災地を思う朗読会」が開催された。
https://www.city.aomori.aomori.jp/event/20190309-01.html

 3月10日,ひたちなか市中央図書館(茨城県)で,第3回読書会「震災、その時」が開催された。
http://www.lib.hitachinaka.ibaraki.jp/viewer/info.html?id=564

 3月10日,ひたちなか市佐野図書館で,「サンデーシアター」(大人向け定例映画会)が「震災メモリアル」をテーマに開催され,震災を扱った映像作品が上映された。
http://www.lib.hitachinaka.ibaraki.jp/viewer/info.html?id=549

●刊行物

 11月25日,福島県立図書館が,小学校高学年及び中学生が福島や東日本大震災について調べるための資料や情報を紹介する『本はともだち 福島を知る・福島を伝える』をウェブサイトに掲載した。
http://www.library.fks.ed.jp/
https://www.library.fks.ed.jp/ippan/jiken/pdf/f_honwatomodachi.pdf

 『専門図書館』292号(2018年11月)が,服部菜都子氏の記事「国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(ひなぎく)における震災記録の収集・保存・提供の取組」を掲載した。
http://iss.ndl.go.jp/sp/show/R000000004-I029349969-00

 『地方史研究』68巻6号(2018年12月)が,水本有香氏の記事「資料保存問題 「福島の震災遺産と震災アーカイブの構築」参加記」及び橋本唯子氏の記事「資料保存問題 フォーラム「福島の震災遺産と震災アーカイブズの構築」参加記」を掲載した。
http://iss.ndl.go.jp/sp/show/R000000004-I029394706-00
http://iss.ndl.go.jp/sp/show/R000000004-I029394711-00

 2019年1月,移動図書館車による被災地支援に関する古賀東彦氏の『ただ傍にいて:東日本大震災7年間に聞いた心の声:東北駐在所長日記』が刊行された。
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I029456943-00

 2019年2月,大門正克氏ほか編集の『「生存」の歴史と復興の現在:3.11分断をつなぎ直す』が刊行され,歴史資料の保全等についての章も掲載された。
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000067-I000269112-00

 『ネットワーク資料保存』第119号(2019年2月)が,星紀子氏の記事「東日本大震災と原発事故から再開館までの歩み~富岡町図書館の資料の保存を中心に~」を掲載した。
http://www.jla.or.jp/Portals/0/data/iinkai/hozon/network/NW119.pdf

関西館図書館協力課調査情報係