カレントアウェアネス-E
No.248 2013.11.07
E1496
NDLとJLAの連携による新しい『日本目録規則』の策定について
国立国会図書館収集書誌部(以下「NDL」という。)と,日本図書館協会(以下,「JLA」という。)目録委員会(以下「目録委員会」という。)は,連携して,RDA(CA1766,CA1767参照)に対応した新しい『日本目録規則』(以下「新規則」という。)を策定する。
本稿では両者が新規則の策定及び普及に関して連携するに至った経緯,確認した基本方針,策定と普及のスケジュールについて報告する。
●新規則に係る連携に至るまでの経緯
目録委員会は,2010年から『日本目録規則』の改訂作業を開始している。2010年9月に,第96回全国図書館大会で「JLA目録委員会の活動と新しいNCR」と題して改訂作業の方向性を示し,同時に「『日本目録規則』の改訂に向けて」を公表して広く意見を募集し,改訂作業に反映している。
他方,NDLは2012年度に「国立国会図書館の書誌データ作成・提供の新展開(2013)」(以下「新展開(2013)」という。)の策定に着手して,現在『日本目録規則』を適用している資料群に対してのRDA適用を検討し,2013年1月には目録委員会に申し入れて「RDA適用に関する懇談会」を行った。
同年2月には,両者がそれぞれ「新展開(2013)」と「『日本目録規則』改訂の方針と進捗状況」をホームページ上に掲載したが,その段階では,NDLの「新展開(2013)」で掲げられた「特にRDAに対応した書誌データの作成基準を定める」作業と目録委員会の『日本目録規則』改訂作業の関係は特に示されてはいなかった。
NDLは同年5月に,新規則が国内で共通に適用されるものとなるよう,目録委員会に対して新規則の策定に関する連携を提案した。その後,NDLと目録委員会で意見交換を行った上でNDLとJLAは連携して作業を行うことを合意した。
新規則に関する方針について確認した内容は「『日本目録規則』改訂の基本方針」として連名で取りまとめ,同年9月30日に両者がそれぞれのホームページで公表した。
●「『日本目録規則』改訂の基本方針」概要
本方針は,新規則がどのような考え方のもとに策定される必要があるのか,どのような内容となるべきかなど,新規則の目指す方向性と主な改訂内容を示すもので,目録委員会の「『日本目録規則』改訂の方針と進捗状況」(2013年2月21日付け)に修正を加えて作成された。主な内容は以下のとおりである。
「1 将来の目録」では資料の多様化への対応,典拠コントロールの拡大,リンク機能の実現が目指されている。「2 新しい『日本目録規則』の意義と目的」では,FRBR(CA1480参照)モデル対応,従来の目録との継続性保持,日本での適用可能性への配慮が述べられている。「3 NCR改訂の留意事項」では「国際目録原則(ICP)」等への準拠,RDA対応,現行NCR評価の反映,論理的でわかりやすく実務面で使いやすいこと,提供方法も含めてのウェブ環境への適合性に留意するとされている。
「4 改訂の主な内容」では,規定範囲を主としてエレメント(データ要素)の定義に限定すること,従来の資料種別に対して,機器種別,キャリア種別,表現種別の3種に分けた規定を設けること,実体間の関連の重視などが挙げられ,RDA準拠の方針が明確になっている。「5 新NCRの構成」においても,全体構成を,総説,実体の属性に関する記録,実体の関連に関する記録,付録と大別するとあり,NCRが全面的に改訂され,RDAに対応した新しい規則となることが示されている。
なお,それぞれのホームページには,本方針に対する補足的説明として「新しい『日本目録規則』の策定に向けて」(NDL発表),「『日本目録規則』改訂におけるNDLとの連携について」(目録委員会発表)が併せて掲載されている。
●新規則策定と普及のスケジュール
新規則の策定のみならず,その普及と維持管理についてもNDLとJLAが連携して行う。
具体的には新規則の草案を公開し,検討集会の開催等によって広く意見を募り,フィードバックを行う。そして新規則の完成後には,書誌データ作成機関の実務者を対象とした研修を両者が共同で実施する想定である。スケジュールと両者の分担は以下のとおりである。
2013年10月~2016年度 | 新規則案を検討(目録委員会及びNDL) |
2014年1~3月 | 「日本の目録規則の在り方に関する検討会議」(仮称)を開催し,関係機関等に新規則案の概要を説明(日時未定)(NDL) |
2015年度 | 新規則案を公開し,国内で共通に適用できるよう関係機関と調整(目録委員会及びNDL) 新規則案に対する検討集会を開催(JLA及びNDL) |
2016年度 | 新規則案を適用した試行データ作成及び評価(関係機関及びNDL) 試行データの評価を踏まえた新規則案の修正(目録委員会及びNDL) |
2017年度 | 新規則の公開(JLA及びNDL) 書誌データ作成機関の実務者を対象とした実務研修(JLA及びNDL) |
国際標準との整合性を保ちつつ,日本語の特性,日本の出版事情や目録慣行に配慮した新規則を策定し,それが国内で共通に適用されることを目指して,両者は連携事業を開始している。
(収集書誌部収集・書誌調整課・高野佳代)
Ref:
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/bib_newsletter/2010_4/article_03.html
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/kihon.html
http://www.jla.or.jp/committees/mokuroku/tabid/184/Default.aspx
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/shintenkai2013.pdf
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/newncrpolicy.pdf
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/newncr.pdf
CA1480
CA1766
CA1767