E044 – ICDLプロトタイプ完成とシンポジウム(米国)

カレントアウェアネス-E

No.8 2003.02.05

 

 E044

ICDLプロトタイプ完成とシンポジウム(米国)

 

 子どもの本の国際電子図書館(ICDL:S003参照)のプロトタイプシステムが完成し,2002年11月20日,公開された。18言語,約200タイトルの児童書をデジタル化して提供するものである。ICDLは,2007年までに1万冊(100の文化から100冊ずつ)の児童書を提供する世界最大の子どものための電子図書館(対象年齢3歳〜13歳)をめざしており,このプロトタイプは,その第一歩として構築されたものである。

 翌21日,「ICDLの国際的側面の構築(Creating the International Aspect of the International Children’s Digital Library) 」と題するシンポジウムが米国議会図書館において行われ,各国の児童図書館関係者,児童文学作家,関係各分野の研究者等約30名が参加した。日本からは国際子ども図書館が参加した。資料の収集方法,資料選定の基準,著作権とその補償,翻訳等の諸問題について,さまざまな観点から活発な議論が戦わされた。特に出席者の関心を集めたのは,ICDLを通じていかに良質の児童書を提供するかという問題であり,誰がどのような基準に基づいて,どのような方法で1万冊の児童書を選定すべきかが,著作権の問題ともからめて議論された。今後,この計画の前進のためには,それにふさわしい各分野の専門家を組織することが急務であると考えられる。

(報告:山口和人)

Ref:
http://www.icdlbooks.org/
Washington Post. 2002.11.21
S003