CA1871 – 研究文献レビュー:都道府県立図書館論 / 田村俊作

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カレントアウェアネス
No.327 2016年3月20日

 

CA1871

研究文献レビュー

 

都道府県立図書館論

慶應義塾大学名誉教授:田村 俊作(たむら しゅんさく)

 

1. はじめに

 本稿では、都道府県立図書館に関する論考を概観する。公立図書館については、市区町村立の図書館が、市民にとってのあり方が問われてきたのに対し、都道府県立図書館をめぐる議論では、市区町村立図書館との関係の中でその存在がいかに正当化されるのかが問われてきている。長年に渡って予算が削減され、ほとんどが非常に厳しい運営を強いられている点も、近年の論の背景となっている。

 本稿では、研究論文のみに留まらず、都道府県立図書館の動向を考察・検討し、今後の可能性や取るべき方向を示唆する論考や行政・団体等による政策文書も取り上げる。対象を広く捉えるのは、その役割や機能に関する重要な提言を含む多様な見解は、厳密な意味での研究論文というよりは、このような論考や政策文書の中に表明されていると考えるからである。また、近年の動向の背景となった過去の議論についても、戦後に絞って簡単に触れる。

 なお、本稿は「研究文献レビュー」ではあるが、前述のように対象を広げて検討しているため、前稿(1)と一部内容に重複があることをお断わりしておく。都道府県立図書館論に限定せず、都道府県立図書館に関する2000年代の文献を広くレビューしたものに新出の論考(2)があり、参考になる。

 

2. 都道府県立図書館論の登場

2.1. 図書館法と都道府県立図書館

 1950年に施行された図書館法には、都道府県立図書館に対する言及がわずかばかりではあるが存在する。制定当初は国庫補助の基準等、現在よりも言及が多かったが、現行法では国立印刷局刊行の出版物の提供に関する第9条の規定があるのみである。条文を解説したものは存在する(3)ものの、都道府県立図書館の役割とその法的根拠といった観点からの議論はない。第9条は米国の連邦政府刊行物寄託図書館制度を想起させるような条文であるにもかかわらず、僅かに法制定時の文部省社会教育局長だった西崎恵が「都道府県立図書館は当該都道府県内の図書館奉仕の中心とならねばならない関係上、第一項においてその充実を図ろうとしたのである」(4)と、域内図書館のサービスセンターとしての役割を指摘しているのみで、2011年の調査(5)では提供すら十分に履行されていないことが明らかとなった。

 

2.2. 薬袋秀樹による論

 戦後の議論については、薬袋秀樹による非常に包括的なレビューが存在する(6)。薬袋は1980年代前半までの論を、①創成期(1945-1962)②模索期(1963-69)③<協力・援助型>都道府県立図書館論の萌芽期(1970-1976)④<協力・援助型>都道府県立図書館論の形成期(1977- )の4期に分けて検討している。

 薬袋は1963年の『中小都市における公共図書館の運営』(7)(以下、「中小レポート」)において、中小市立図書館を公共図書館の中心に据えるという価値の転倒が起こったとして、それに対応する都道府県立図書館論の必要性を主張している。

 薬袋は「中小レポート」と、後述する前川恒雄の論を基本的に同趣旨のものとして高く評価し(8)、都道府県立図書館のめざすべき方向を、市区町村立図書館の自立的発展を促し、支えるという「協力・援助型」の図書館であるとして、この図書館像を軸に時期区分を行なっている。この点で薬袋論文の主張は前川の論に沿ったものであるが、薬袋の論は前川の論と次の2点で違いがある。

 ①納税者である住民にサービスを提供するのとは異なり、市区町村立図書館に対する協力・援助については、法的・制度的根拠が必要である。

 ②市区町村立図書館と同じ業務をすることによって、都道府県立図書館は市区町村立図書館をよりよく理解することができると前川は言うが、住民・行政との関係が根本的に異なる以上、同一業務を行なっているからといってそれだけで市区町村立図書館を理解することにはならない。都道府県立図書館は市区町村立図書館とは異なる独自の直接サービスを提供すべきである(9)

 薬袋の論考は都道府県立図書館の使命、機能、具体的なサービスまでも含む包括的な論考であり、この水準の論は未だに存在しない。

 

3. 市区町村立図書館のための図書館

3.1. 前川恒雄による論

 都道府県立図書館と市区町村立図書館とによる図書館協力網の形成と、それを通じた都道府県立図書館による市区町村立図書館に対する協力・援助については、すでに戦前から論じられてきた。しかし、前川は中央図書館制度に代表される戦前の道府県立図書館のあり方を、市区町村立図書館の上にあって指導する存在であろうとしたとして批判し、逆に、市区町村立図書館に学び、その要求に応えることこそが都道府県立図書館を発展させ、ひいては公共図書館全体を発展させると主張した(10)

 1981年の著書(11)で前川は、都道府県立図書館の市区町村立図書館へのサービスとして、①市区町村立図書館の設置・普及②市区町村立図書館への貸出・レファレンス③町立図書館等への大量一括貸出④保存図書館⑤県内図書館間の相互貸借の中継⑥図書館関係研究会・団体等の世話、があり、都道府県立図書館独自の仕事として、⑦都道府県の土地柄に合った蔵書構築⑧市区町村立図書館を理解するための直接サービス、をあげている。1995年の論考(12)では、①市区町村立図書館と同様の直接サービス②市区町村立図書館の振興③協力車を基本的な搬送手段とする貸出と書誌情報の提供④資料保存⑤市区町村立図書館運営への協力⑥市区町村立図書館の擁護、があげられている。十数年の歳月の隔たりはあるものの、両者の基本は重なっており、かつ、都道府県立図書館の存在理由は市区町村立図書館の役に立つことである、という性格づけは一層明確になっている。

 知る自由を保障するものとして公共図書館による資料提供を据え,それを実現するのは市区町村立図書館であるとした上で,その自立的発展を支えることに都道府県立図書館の存在意義を見る前川の思想は、市区町村立図書館こそが公共図書館の中核であるとして、それまでの大図書館中心の公共図書館観を逆転した「中小レポート」と『市民の図書館』(13)の思想に沿うものである。

 

3.2. 「市区町村立図書館のための図書館」論への批判

 極めて少数であるが、以上のような「市区町村立図書館のための図書館」論に対する批判がある。1990年当時大阪府立中之島図書館長であった山代義雄(14)は、市区町村立図書館への援助が都道府県立図書館の第一義的機能であるとする考え方に対し、都道府県の事務の範囲を定めた地方自治法第2条6項(当時)によっては根拠づけることのできない、制度を外れたものであり、賛成できないとした。これに対し脇谷直博(15)(16)は地方自治法の趣旨と「市区町村立図書館のための図書館」論の意義をもとに反論している。

 6.で見るように、政策文書中でも市区町村立図書館への援助を都道府県立図書館の重要な役割とする見方は定着している。管見の限り、図書館界内部で地方自治制度面から援助を疑問視する声は近年までなかったし、まして都道府県立図書館の業務に影響を与えることはなかったようである。

 

4. 役割分担論

 前川が批判の対象とした同時代の論に役割分担論(以下、分担論)がある。前川は、都道府県立図書館は①レファレンスライブラリーになるべきで、貸出や児童サービスはしなくとも良いとするような機能面での分担論②児童の入館は認めないといった対象面での分担論③高度な専門書だけを買うべきで、小説や児童書は購入しないといった蔵書面の分担論、という3種類の分担論をあげている(17)

 こうした分担論を都道府県立図書館論として肯定的に正面から主張したものは見当たらない。類似の用語として、藤井千年は1975年に「いわゆる県立図書館機能分離論」として分担論を紹介している。藤井は機能分離論を「一般市民を対象とした館内閲覧だとか、貸出中心主義から脱皮して...図書館というよりもインフォメーションセンター的なもの」(18)であろうとする論としている。

 1990年前後に実際に分担論として批判されたものに、例えば新潟県立図書館が新築移転する際に作成された整備構想(19)がある。大学図書館も含む情報ネットワークを構築し、児童サービスを廃止するという構想を、小谷恵子(20)は「空洞化された情報図書館構想」として批判している。1989年に公表された岡山県立図書館の新館構想をめぐっては、同様に、児童奉仕を廃止し、大学図書館と並ぶグレードの高いものをめざす、とする県知事・教育長の答弁が批判されている(21)

 1985年から1989年までに公表された都道府県および政令指定都市による図書館将来構想関係文書を分析した田村ほかの調査(22)(23)では、都道府県立図書館の整備構想の中に高度な情報サービスの提供や専門書の収集をあげている都道府県が相当数あったと報告している。

 分担論に類似した用語に「第二線図書館」論がある。薬袋(24) は、有山崧(25)に始まるこの用語には市区町村立図書館への援助を機能の中心にすべきという肯定的用法と、①郊外の不便な場所への立地②直接利用の軽視③専門資料中心の蔵書構成④移動図書館の廃止など、市区町村立図書館が未成熟な段階で利用者から遠ざかろうとするような姿勢を問題視する批判的用法の二通りの用法があり、当初は肯定的に用いられていたのが、直接サービスを軽視する議論と「第二線図書館」概念が結びつくに及んで、批判的用法が登場したとしている。梅澤幸平(26)は分担論に基づく「第二線図書館」の実情を批判的に回顧している。

 こうした分担論の背景に、参考図書館たろうとした戦前からの伝統(27)を見ることができるかもしれないが、別の見方として、新(28)が論ずるように、二重行政を避けるための模索と見ることも可能である。

 

5. 都道府県立図書館・都道府県立図書館論の停滞

5.1. 都道府県立図書館論の停滞

 1980年代から1990年代にかけては、市町村立図書館支援論(以下、支援論)の立場から、都道府県立図書館の不十分さを批判的に論ずる論考が続く(29)(30)(31)(32)(33)

 この時期には5.2.で見るように、都道府県立図書館にもそれなりの成長はあったようである。しかし、支援論と、分担論の混在(34)、そして戦前からの参考図書館論(35)などのさまざまな論が並立し、その役割について明確な方向性は見えなかった。

 大串夏身(36)は都道府県立図書館を「広域レベルでの唯一ともいえる責任ある事業執行機関」(p. 38)であり、都道府県が域内の図書館事業に関する総合調整機能・補完的機能を発揮する際の事業執行機関であるとした上で、9県の総合計画を検討して、そこに県立図書館の明快なビジョンの見えないことを指摘している。これは、東京都(37)や滋賀県(38)の図書館政策が、域内市区町村立図書館の振興策と併せて都立・県立図書館の充実を提言していることに通じる、重要な指摘である。

 

5.2. 都道府県立図書館の停滞

 単に理論面だけでなく、実績においても都道府県立図書館が市区町村立図書館に比べて見劣りすることは、1980年代から指摘がある。前田章夫(39)は、都道府県立図書館は1960年代半ばからの20年間に、大規模館への転換と、協力・援助型の図書館への転換という二つの質的転換を遂げつつあるとしつつ、協力・援助型の図書館になるには、職員数や質の面などでなお極めて不十分であると指摘している。その4年後に長谷川周(40)は、受入冊数や資料費は増加しているものの、貸出冊数や職員数は減少しつつあるとした。松岡要は1995年(41)と1996年(42)の記事で、職員数が減少傾向にあることに警鐘を鳴らしている。

 資料費は1995年がピークで、以後長期低落傾向が続いている。図書館雑誌編集委員会(43)は2009年の特集の冒頭で、資料費は1995年をピークに減少に転じたことと、職員の非正規化が進行していることを指摘している。

 

5.3. 都道府県立図書館のあり方を問い直す動き

 こうした低落傾向の中で、2000年くらいから都道府県立図書館のあり方を問い直す動きが続いた。背景にあるのは厳しい財政状況の下での事業全般の見直しと再編である。以下そのいくつかを取り上げてみる。

 東京都が2001年度に行なった行政評価で都立図書館は「抜本的見直し」との総合評価であった。指摘されたのは、①市区町村立図書館との役割分担の明確化(情報サービスの高度化と市区町村立図書館への協力支援機能の強化)②機能集中による運営の効率化③関係機関との連携の強化、という、運営の効率化を図りつつ従来のサービスの一層の充実を求めるという難しい要求であった(44)。これに対して作成された「今後の都立図書館のあり方」(45) (46)は、専門書・貴重書等を活用した高度・専門的なレファレンスサービスの提供、専門書・高価本等役割分担を踏まえた資料収集と、明確に分担論を展開している。

 高知県立図書館と高知市民図書館本館との合築では、直接サービスは市民図書館が、県内図書館協力網の管理は県立図書館が担当し、蔵書の構築・管理やレファレンスサービス等は共同で行なうこととされている。合築がもたらす可能性として、資源の集積による利用者の利便性の向上、専門資料の充実とそれに基づく課題解決支援や調査研究支援等のサービスの充実、資源や業務・サービスの一本化による効率化がうたわれている(47)。分担論をさらに進めて、県立図書館・市立図書館双方の業務を分析・再編することにより、サービスの充実と運営の効率化を図っている。

 長崎県立長崎図書館もまた、大村市立図書館との合築計画が進んでいる(48)。検討はすでに2000年頃から行なわれていた(49)。郷土資料センターを長崎市に新設するなど違いは見られるものの、役割分担と集積効果によりサービスの充実と運営の効率化を図っている点は高知の計画と同一である。

 神奈川県立図書館の再編計画は、県の緊急財政対策(50)の一環として提案された。当初案の骨子(51)は、①県立図書館の閲覧・貸出サービスを廃止し、市町村立図書館を通じて資料を提供する②県立図書館は専門書の収集、相互貸借システムの運営、司書の研修などバックアップ機能に特化する③県立川崎図書館は廃止し、蔵書は県立図書館に移管するというものであった。この当初案は修正された(52)が、「市町村立図書館との役割分担を精査しながら、県立図書館の機能を純化し、効率化に向けて検討」(53)するという、役割分担により効率化を図る方向は明らかである。

 大阪府の大阪府立図書館運営業務の市場化テストでは、窓口業務等多くの業務が俎上に上った(54)。高度なレファレンスサービスは対象外とされたものの、監理委員の中からコストがかかりすぎる、オーバースペックではないのかといった意見が出された(55)。役割分担論の中核的なサービスを批判する意見と取れるが、これについては図書館側の説明の不適切さを指摘する意見がある(56)

 以上取り上げた事例で共通するのは、従来の都道府県立図書館論に理解を示しつつ、一層の効率性を求めている点である。市区町村立図書館支援について渡邉斉志(57)は、蔵書面でのバックアップである以上、本質的にリダンダンシー(冗長性)があるため、財政の効率化が強く求められるときには、縮小の圧力にさらされると指摘している。この論に基づくならば、単なる協力・援助型の論では経費削減と機能の縮小を免れない、ということになってしまう。

 

6. 政策文書の中の論

 都道府県立図書館論をめぐる新たな動きを論ずる前に、文部科学省や日本図書館協会等による全国レベルの政策文書の中で都道府県立図書館がどのように論じられているのかを見てみよう。

 

6.1. 「望ましい基準」の中の論

 文部科学省による「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」(以下、「望ましい基準」)(58)では、市区町村立図書館への協力・援助が都道府県立図書館の主要な任務であるとされている。これを最初に明示したのは、1972年に報告された望ましい基準案(59)である。

 1972年の基準案は、社会教育審議会によって承認される際には大幅に修正され(60)、結局告示には至らなかった。その後再度の検討を経て、1992年に図書館専門委員会による報告(61)が文部省生涯学習局長によって通知された後、再度の改訂を経て2001年に正式に告示された(62)。図書館法の改正に伴い、私立図書館も対象とする「図書館の設置および運営に関する望ましい基準」が2012年に告示されている。

 1972年の基準案では、都道府県立図書館の機能として、①他の図書館との協力②参考業務③市町村立図書館への援助④未設置市町村への働きかけがあげられ、域内図書館との協力・援助と図書館振興の方向性が明確である。

 1992年の「望ましい基準」は、都道府県立図書館の運営の基本として、「(1)都道府県立図書館は、都道府県内の学習需要を広域的かつ総合的に把握して資料及び情報を収集、整理、保存及び提供する立場から、市町村立図書館に対する援助に努めるとともに、都道府県内の図書館間の連絡調整等の推進に努めるものとする。(2)都道府県立図書館は、住民の直接的利用に対応する体制を整備するものとする」と述べ、協力・援助型の図書館であるべきことを明確に示した。2001年に告示された基準も、援助と連絡調整を基軸にしつつ、未設置市町村への働きかけと他施設との連携を新たに加え、協力・援助型の図書館論を補強している。2012年の基準では、「域内の図書館」と援助の対象を広げているが、基本は変わっていない。

 

6.2. 「任務と目標」等における論

 日本図書館協会による政策文書「公立図書館の任務と目標」(以下、「任務と目標」)(63)は当初「望ましい基準」が告示されない中で、基準に代わるものとして作成されたものである。

 「任務と目標」中ではその役割について、「53 都道府県立図書館(以下「県立図書館」という)は、市町村立図書館と同様に住民に直接サービスするとともに、市町村立図書館の求めに応じてそのサービスを支援する。大多数の住民にとって、身近にあって利用しやすいのは市町村立図書館である。したがって県立図書館は市町村立図書館への援助を第一義的な機能と受けとめるべきである。県立図書館であるということを理由に、全く個人貸出を行わないとか、児童サービスを実施しないということがあってはならない」(64)と、協力・援助型の論を述べている。第5章では都道府県の図書館振興策について触れ、域内市区町村の図書館を振興するのは都道府県の責務であること、都道府県立図書館は都道府県の図書館振興策の一翼を担うべきことを述べ、都道府県の図書館行政における都道府県立図書館の役割を明らかにしている(65)

 1995年に刊行された実践事例集(66)では、「第1章 県立図書館の在り方」で「県立図書館は、市町村立図書館への支援を通してのみ、設置の趣旨に適うサービスを提供することができるのである」(p. 6)と市区町村立図書館への援助を第一義的な機能とする立場を明確にしている。

 2006年に報告された「これからの図書館像」では、「4.(1)都道府県の役割」の中で簡潔に「都道府県立図書館は、調査・研究機能を活用して、市町村立図書館や地域の大学と連携協力し、図書館の新しいサービスやサービスの評価方法の調査・研究開発に努めることが求められる。また、市町村立図書館への支援や、公立図書館間や館種の異なる図書館間での連携の中心となること、域内の図書館職員への研修プログラムの開発・実施等に努めることが求められる」(67)と述べるのみである。市町村立図書館支援に言及しつつ連携協力や調査・研究が前面に出ている点、これまでの政策文書とは異なるものになっている。

 

7. 新たな時代の都道府県立図書館論

 これまで見てきたように、文献や政策文書においては、市区町村立図書館振興を最重要の使命としつつ、直接サービスも実施するという協力・援助型の論が主流で、分担論や調査研究図書館論は批判の対象とされてきた。一方、現実の都道府県立図書館では予算の削減が進行し、また、協力・援助型の図書館像とは異なる図書館を作ろうとする試みが生まれてきており、協力・援助型の論との齟齬が目立つようになってきた。

 この齟齬に対し、現実に起こっていることの方を、望ましい都道府県立図書館像からの逸脱ととらえるのは一つの考え方である(68)(69)。しかし、これを機会に、その役割と機能を根本から考え直そうとする論考も登場している。さらに、新たな発想に立った図書館サービスの実現をめざす館も現われてきた。ここでは、こうした新たな論のいくつかを取り上げる。

 2006年の『現代の図書館』の都道府県立図書館特集では、実践報告(70)(71)(72)と共に新(73)と渡邉(74)が注目すべき論を展開している。

 新は都道府県立図書館論の軸として、①直接サービス/間接サービスと、②機能分担論/全面的サービス論との二つの軸を設定する。ここで①は利用者に対する直接的なサービスか市区町村立図書館を通じた間接的なサービスかという軸であり、②は市区町村立図書館との機能分担を行うのかどうかという軸である。そして都立図書館再編問題を例に、間接サービスを縮小し、分担論に基づく高度・専門的な直接サービスへと運営方針が転換したと分析する。さらに、市区町村立図書館が発展する中で、都道府県立図書館の相対的優位性は失われつつあるため、直接サービスの発展は難しいとして、間接サービスの展開と、さらに従来の間接サービスの中心であった資料面でのサービスに加えて、発展への支援として、コンサルティング等の支援事業を実施する可能性を論じている。

 一方、渡邉は支援論が公共図書館界で定説化していることに疑問を呈する。市区町村立図書館の充実や都道府県の財政難の中で、市区町村立図書館支援が都道府県立図書館の最も重要な役割とは言い切れなくなっていることを指摘し、その具体例として、インターネットを通じて道民への直接サービスをはじめた北海道立図書館と、調査研究図書館サービスと行政支援を中核的機能として掲げた東京都立図書館をあげている。

 新(75)は両者の議論を比較して、都道府県立図書館と市区町村立図書館の機能には冗長性や二重性が存在するとする認識は共通するものの、渡邉は蔵書と協力貸出にそれを見出し、新は直接サービスに見出している点が異なっていると指摘している。

 2011年には加藤和秀(76)が都道府県立図書館不要論の可能性を論じている。加藤は都道府県立図書館が現在に至るまで、市区町村立図書館支援をうたいながら実際には市立図書館兼都道府県立図書館という中途半端な存在であるとする。さらに、児童サービス不要論とその論拠を検討した後に、同じ議論が都道府県立図書館不要論でも可能だとして、そうした存否を問う地点からこそ都道府県立図書館の役割を論ずべきだとする。

 都道府県立図書館不要論は以前から存在する。藤井は1975年に、すでに、「図書館は直接市町村の住民にサービスを行なう機関であって、県のような中間的行政機関が行なうものではない」(77)という不要論を紹介している。藤井(78)は兵庫県について、県立図書館がないために、県政に図書館政策が位置づけられていないとして、協力・援助型の県立図書館像が提案されていることを紹介している。菅原峻(79)の論考は、市区町村立図書館のために存在しないような都道府県立図書館は不要との論である。

 渡邉はその後もさらに持論を展開している。2014年の記事(80)では、都道府県立図書館の機能に関して、①二重行政批判にどのように応答するか②県政へのコミットメントをどうとらえるか③ガバナビリティの向上をいかに図るか④「文献提供」という機能をどうとらえるか、という4つの論点を提示している。また、2015年の第101回全国図書館大会の第1分科会で行った基調講演(81)では、地方自治法に基づいて都道府県立図書館が担いうる機能として補完、連絡調整、広域の三機能をあげ、都道府県立図書館の諸事業の制度的位置づけを3つの機能に照らして検討している。

 都道府県立図書館の法的・制度的検討の必要性は、すでに薬袋が述べていたが、都道府県立図書館の法的基盤を論じたものはほかには浅見勝也(82)がある。山代が地方自治法に基づき市区町村立図書館への援助に疑義を呈したことは3.2.で述べた。安藤哲也(83)は近年の地方分権改革の中で、都道府県と市区町村間の単純な二元論の時代が終わったことを述べている。

 

(1) 田村俊作. 特集, がんばれ!都道府県立図書館: 都道府県立図書館論の動向. 図書館雑誌. 2014, 108(6), p. 405-407.

(2) 新出. Ⅱ. 館種別状況, 公共図書館: 図書館協力とネットワーク, 県立図書館を中心に. 図書館界. 2010, 61(5), p. 334-345.

(3) 例えば,森耕一編. 図書館法を読む. 日本図書館協会, 1990, 277p.

(4) 西崎恵. 図書館法. 日本図書館協会, 1970, p. 73-74.

(5) 日本図書館協会図書館政策企画委員会. 都道府県立図書館への無償提供を求める政府刊行資料に関するアンケート調査の結果について〈報告〉. 現代の図書館.2011,49(3),p. 201-207.

(6) 薬袋秀樹. 戦後県立図書館論の系譜. 図書館評論. 1984, (25), p. 59-68; 1985, (26), p. 16-31; 1986, (27), p. 67-84.

(7) 中小都市における公共図書館の運営. 日本図書館協会, 1963, 217p.

(8) 薬袋. 前掲, 1984, (25), p. 60.

(9) 前掲. p. 66-67.

(10) 前川恒雄. “Ⅶ, のりこえるべき問題: 4, 岐路にたつ県立図書館”. われらの図書館. 筑摩書房, 1987, p. 227-229.

(11) 前川恒雄. “第三章. 都道府県立図書館について”. 図書館で何をすべきか. 図書館問題研究会大阪支部, 1981, p. 93-108.

(12)前川恒雄. “県立図書館序論”. 転換期における図書館の課題と歴史. 石井敦先生古稀記念論集刊行会編. 緑蔭書房, 1995, p. 3-15.

(13) 市民の図書館. 日本図書館協会, 1970, 151p.

(14) 山代義雄. 府県立図書館の地方自治制度上の位置づけ. 大阪府立図書館紀要. 1990, (26), p. 2-7.

(15) 脇谷直博. 地方自治法上に府県立図書館の位置づけを. 大阪府立図書館紀要. 1991, (27), p. 10-18.

(16) 脇谷直博. 大阪府立図書館紀要誌上における, 府県立図書館の在り方をめぐるやり取りと, 府県立図書館職員論(らしきもの). みんなの図書館. 1991, (171), p. 50-57.

(17) 前川恒雄. “Ⅶ, のりこえるべき問題: 4, 岐路にたつ県立図書館”. われらの図書館. 筑摩書房, 1987, p. 225-227.

(18) 藤井千年ほか. パネル・ディスカッション, 府県立図書館への期待. 図書館界. 1975, 26(5/6), p. 141.

(19) 新潟県立図書館整備構想. 新潟県教育委員会, 1987, 28p.

(20) 小谷恵子. 府県立図書館に児童奉仕はいらないのか?: 情報図書館, 新潟県の場合・大阪府の場合. みんなの図書館. 1989, (146), p. 82-86.

(21) 図書館問題研究会岡山支部編. だれのための県立図書館?: 「こりゃあいけん」で始まった岡山県立図書館運動奮戦記. 別冊みんなの図書館. 1991, (1), p. 10.

(22) 田村俊作ほか. 特集, 関西館構想: 3-1, 全国図書館ビジョン調査. 図書館研究シリーズ. 1993, (30), p. 134-260.

(23) 田村俊作ほか. 転換期を迎える県立図書館 その4: 都道府県の図書館構想と県立図書館. 図書館雑誌. 1990, 84(6), p. 366-368.

(24) 薬袋秀樹. 「第二線図書館」概念の形成: 有山崧の所説を中心に. 図書館学会年報. 1986, 32(4), p. 145-158.

(25) 有山崧. 図書館は生きている. 教育と社会. 1950, 5(1), p. 48-51.

なお、有山崧著作集 第l巻. 日本図書館協会, 1970, p. 77-82. に再録されている。

(26) 梅澤幸平. 都道府県立図書館の役割ってなんだろう: 現場で模索した県立図書館像. ず・ぼん. 2014, (19), p. 154-164.

(27) 永末十四雄. “第5章, 道府県立図書館と町村図書館”. 日本公共図書館の形成. 日本図書館協会, 1984, p. 197-265.

(28) 新出. 特集, 地方自治制度の変貌と都道府県立図書館: 県立図書館の「第一義的機能」. 現代の図書館. 2006, 44(4), p. 203-204.

(29) 前田章夫. 特集, 県立図書館よ めざめよ!!: 「日本の図書館」からみた県立図書館の20年. みんなの図書館. 1986, (109), p. 2-9.

(30) 長谷川光児ほか. 特集, 県立図書館はいずこへ: 県立図書館三題噺. みんなの図書館. 1989, (141), p. 2-6.

(31) 山本哲生. 特集, 県立という名の図書館: 県立図書館に期待したいこと. みんなの図書館. 1995, (214), p. 3-7.

(32) 山本哲生. 特集, 「変革期」に立ち向かう図書館: 県立図書館にもとめられるもの. 図書館界. 1995, 47(3), p. 140-146.

(33) みんなの図書館関西編集部. 特集, 県立図書館は, 今: 特集にあたって: 都道府県立図書館調査のまとめと最近の動き. みんなの図書館. 1996, (232), p. 1-3.

(34) 図書館問題研究会兵庫支部編. 都道府県立図書館調査 兵庫県立図書館篇. 図書館問題研究会兵庫支部, 1994, 53p.

(35) 奈良県立図書館整備基本構想. 奈良県教育委員会, 1995, 82p.

(36) 大串夏身. 特集, 県立図書館よ めざめよ!!: 県立図書館の新時代へ向けて: 長期計画の中の県立図書館の検討を通じて. みんなの図書館. 1986, (109), p. 37-41, 48.

なお、大串夏身.図書館経営・サービスをめぐる諸問題: 379市区町村の事例を中心に. 青弓社, 1987, p. 217-225. に再録されている。

(37) 図書館振興対策プロジェクトチーム. 図書館政策の課題と対策. 1970, 67p.

(38) 滋賀県図書館振興対策委員会. 図書館振興に関する提言. 1980, 72p.

(39) 前田. 前掲.

(40) 長谷川周. 転換期を迎える県立図書館 その3: 都道府県立図書館の24年を追う: 「日本の図書館」統計にみるその動向. 図書館雑誌. 1990, 84(4), p. 207-209.

  ただし,長谷川は1980年代の都道府県立図書館を停滞とみている。

(41) 松岡要. 特集, 県立という名の図書館: データ紹介: 少ない職員がさらに減っている; 県立図書館職員の実態. みんなの図書館. 1995, (214), p. 23-28.

(42) 松岡要. 特集, 県立図書館は, 今: データでみる県立図書館の十年. みんなの図書館. 1996, (232), p. 4-9.

(43) 図書館雑誌編集委員会. 特集, 都道府県立図書館のこれから: 特集にあたって. 図書館雑誌. 2009, 103(10), p. 684-685.

(44) 東京都知事本局.“事務事業名: 東京都立図書館の運営 (中央図書館、日比谷図書館、多摩図書館)”.13年度の行政評価結果(政策評価・事務事業評価).
本文書はInternet Archiveで閲覧可能である。
https://web.archive.org/web/20041103152452/http://www.chijihon.metro.tokyo.jp/hyokahp/h13/h13PDF/28.pdf, (参照 2016-02-20).

(45) 今後の都立図書館のあり方. 都立図書館あり方検討委員会, 2002, 25p.

(46) 田村俊作. “都立図書館の成功と失敗”. 都立図書館は進化する有機体である. ライブラリーマネジメント研究会編著. ひつじ書房, 2003, p. 104-109.

(47) 新図書館(高知県立図書館,高知市民図書館本館)基本構想. 高知市教育委員会, 2011, p. 9, 11.
https://www.city.kochi.kochi.jp/uploaded/life/45032_pdf1.pdf, (参照 2016-02-23).

(48) 長崎県教育委員会ほか. 「県立・大村市一体型図書館及び郷土資料センター」(仮称)整備基本計画(抄). 図書館年鑑 2014. 日本図書館協会, 2014, p. 422-431.

(49) 図書館問題研究会長崎支部. 特集, 進化する県立図書館(期待をこめて): 長崎県立図書館の存続問題, その経過と今後. みんなの図書館. 2001, (285), p. 7-11.

(50) 神奈川県緊急財政対策本部. 神奈川県緊急財政対策. 2012, 36p.
http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/life/703670_1766336_misc.pdf, (参照 2016-02-20).

(51) 神奈川県緊急財政対策本部. 県民利用施設の検討の方向性に関する説明資料.
http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/life/703670_1766335_misc.pdf, (参照 2016-02-20).

(52) 神奈川県緊急財政対策本部. 緊急財政対策の取組結果. 2014, p. 26.
http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/life/703670_2066413_misc.pdf, (参照 2016-02-20).

(53) 神奈川県緊急財政対策本部. 県民利用施設の検討の方向性に関する説明資料.
http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/life/703670_1766335_misc.pdf, (参照 2016-02-20).

(54) 米谷優子ほか. 大阪府立図書館への市場化テスト適用の過程と課題. 大阪市立大学学術情報総合センター 情報学. 2012, 9(1), p. 86-108.

(55) “第18回大阪版市場化テスト監理委員会 審議概要”. p. 5.
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/3231/00008135/211002%20singigaiyou.pdf, (参照 2016-01-31).

(56) 古本おもしろがりずむ: 一名・書物蔵. 2009-09-16; 2009-09-17.
同サイトは現在プライベートモードに設定されているが、当該記事はInternet Archiveで閲覧可能である。
https://web.archive.org/web/20090924021026/http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20090916/p2,
https://web.archive.org/web/20090925215919/http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20090917/p1, (参照 2016-02-20)

(57) 渡邉斉志. 特集, 地方自治制度の変貌と都道府県立図書館: 投稿 都道府県立図書館の機能に関する言説の批判的分析. 現代の図書館. 2006, 44(4), p. 214-226.

(58) “図書館の設置及び運営上の望ましい基準(平成24年12月19日文部科学省告示第172号)について”. 文部科学省生涯学習政策局社会教育課, 2012, 76p.
http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/tosho/001/__icsFiles/afieldfile/2013/01/31/1330295.pdf, (参照 2016-02-23).

(59) “公立図書館の設置および運営に関する望ましい基準: 基準案-1”. 図書館用語辞典. 図書館問題研究会編. 角川書店, 1982, p. 702-703.

(60) “公立図書館の設置および運営に関する望ましい基準: 基準案-2”. 図書館用語辞典. 図書館問題研究会編. 角川書店, 1982, p. 703-705.

(61) “生涯学習審議会社会教育分科審議会施設部会図書館専門委員会の「公立図書館の設置及び運営に関する基準について(報告)」の送付について”.
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/t19920617001/t19920617001.html, (参照 2016-02-23).

(62) 公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準.
http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/dokusyo/hourei/cont_001/009.htm, (参照 2016-02-23).

(63) 日本図書館協会図書館政策特別委員会編. 公立図書館の任務と目標解説. 日本図書館協会, 1989, 69p.

(64) 前掲. p. 41.

(65) 前掲. p. 57-65.

(66) 文部省. 県立図書館の役割と実践: 都道府県立図書館の実践事例集. 第一法規出版, 1995, 157p.

(67) これからの図書館の在り方検討協力者会議. これからの図書館像. 2006, p. 34.
本報告書は、国立国会図書館インターネット資料収集保存事業(WARP)で閲覧可能である。
http://warp.da.ndl.go.jp/collections/NDL_WA_po_print/info:ndljp/pid/286184/www.mext.go.jp/b_menu/houdou/18/04/06032701/NDL_WA_po_009.pdf, (参照 2016-02-23)

(68) 脇谷邦子. 特集, 岐路に立つ県立図書館: 中之島図書館から, 都道府県立図書館のあり方を考える. みんなの図書館. 2013, (430), p. 4-9.

(69) 梅澤. 前掲.

(70) 丸地真人. 特集, 地方自治制度の変貌と都道府県立図書館: 県立図書館の「実力」向上が必要: 専門知識を生かす「4要素」の強化. 現代の図書館. 2006, 44(4), p. 176-183.

(71) 小林隆志. 特集, 地方自治制度の変貌と都道府県立図書館: 地域住民に必要とされる図書館になるために: 鳥取県立図書館のミッション「人づくり」の実現に向けて. 現代の図

書館. 2006, 44(4), p. 184-189.

(72) 中島正明ほか. 特集, 地方自治制度の変貌と都道府県立図書館: 市町村合併が公共図書館サービスに及ぼす影響に関する検討: 広島県の事例. 現代の図書館. 2006, 44(4), p. 190-201.

(73) 新出. 特集, 地方自治制度の変貌と都道府県立図書館: 県立図書館の「第一義的機能」. 現代の図書館. 2006, 44(4).

(74) 渡邉.前掲.

(75) 新出. Ⅱ. 館種別状況, 公共図書館: 図書館協力とネットワーク, 県立図書館を中心に. 図書館界. 2010, 61(5), p. 338-339.

(76) 加藤和英. 県立図書館の存在意義を問い直す: 「県立図書館不要論」必要論. 現代の図書館. 2011, 49(1), p. 72-79.

(77) 藤井ほか. 前掲. p. 141.

(78) 前掲. p. 141-142.

(79) 菅原峻. 県立図書館はいらない. としょかん村. 2011, (7), p. 34-37; (8), p. 28-31; (9), p. 36-38.

(80) 渡邉斉志. 特集, がんばれ! 都道府県立図書館: 県立図書館の機能に関する論点の整理. 図書館雑誌. 2014, 108(6), p. 408-410.

(81) 渡邉斉志. “第1分科会 公共図書館 基調講演 都道府県立図書館の機能についての議論の論点整理”. 第101回全国図書館大会記録. 東京, 第101回全国図書館大会組織委員会, 2016, p.43-46.

(82) 浅見勝也. 府県立図書館法制序説. 大阪府立中之島図書館紀要. 1981, (17), p. 2-24.

(83) 安藤哲也. 個性的で元気な図書館へ: これからの県立図書館が向かう方向,図書館雑誌. 2012, 106(5), p. 299-301.

 

[受理:2016-02-25]

 


田村俊作. 都道府県立図書館論. カレントアウェアネス. 2016, (327), CA1871, p. 28-34.
http://current.ndl.go.jp/ca1871
DOI:
http://doi.org/10.11501/9917293

Tamura Shunsaku
Review of Literature on Foundations and Services of Prefectural Libraries

This article reviews literature on prefectural libraries in Japan. It covers not only research articles investigating institutional foundations, roles and functions, and historical development but also publications explaining the policies and services of individual libraries, or expressing the philosophy of prefectural libraries. Prefectural libraries used to be major public libraries when city, town and village libraries were underdeveloped. As they have developed and became the main libraries, issues relating to the roles and functions of prefectural libraries have arisen originating from the intermediate nature of prefectures. The dominant answer to the issues is to define them as libraries serving city, town and village libraries. However, under the continual pressure of declining budgets, arguments have arisen criticizing the dominant definition and proposing alternatives based upon the roles of prefectures.