カレントアウェアネス
No.264 2001.08.20
CA1415
「欧州図書館」構想
欧州評議会等を軸にした欧州全体の図書館政策の展開,および英国における図書館・博物館・文書館を横断した文化情報資源政策の形成とその中核的実施機関としての英国図書館(BL)の積極的取組については,既報のとおりである(CA1375,1382参照)。そして,この両者が結合した「欧州図書館(The European Library : TEL)」プロジェクトの実施が発表された。
このプロジェクトの目的は,欧州の各国立図書館の持つコレクション(デジタル資源が中心であるが,紙媒体も除外しない)への共通したアクセスを保障する仕組みを提示しようとするものである。主要な課題としては,(1)出版社との新たな関係の確立,(2)コレクションを活用したビジネスモデルの創出,(3)メタデータの標準化,(4)各国立図書館データベース間の相互利用性の実験,という四つが挙げられており,技術面だけでなく,制度面の検討も重視されている。
BLが中心となり,フィンランド,ドイツ,イタリア(フィレンツェ),オランダ,ポルトガル,スロベニア,スイスの計8か国の国立図書館,さらにイタリア総合目録センター(Istituto Centrale per il Catalogo Unico)と欧州国立図書館長会議(CENL)がプロジェクトに参加し,実施期間は30か月,2003年7月までとなっている。なお,必要な資金の大半は,欧州委員会によって提供される。
Ref: Brindley, L. Uniting Europe. Public Libr J 16 (2) 56-57, 2001
The European Library [http://www.europeanlibrary.org/] (last access 2001. 7. 6)