英国勅許公共財務会計協会(CIPFA)、英国の公共図書館に関する年次統計(2020/2021)を発表:英・Libraries Connectedはデータ公開が「遅すぎる」と批判

2022年2月10日、英国勅許公共財務会計協会(CIPFA)は、英国の公共図書館に関する年次統計(2020/2021)を発表しました。

過去の統計と比較して、主に次のような結果が指摘されています。

・2019/2020年度と比べて図書館の総収入が2,000万ポンド近く減少した。
・2019/2020年度と比べてボランティアの人数は50%近く減少し、大きく落ち込んだ。
・2019/2020年度と比べて図書館への直接来館者数は72%減少した。ウェブサイトへの訪問回数は増加を続けており、2019/2020年度と比べて18%増加している。

この統計に関して、図書館の支援を行う慈善団体である英国のLibraries Connectedは、2022年2月28日付けで「CIPFAの図書館データはなぜ目的に適さなくなったのか」という記事を発表しました。同団体は、2020年7月に図書館が限定的に再開され始めてから、月単位で来館者数(footfall)を追跡し、同団体のメンバーが必要とする時に提供していると述べています。その上で、CIPFA統計のサンプル数や、データ収集から公開までに要する時間について「有用なエビデンスという点では少なすぎ、遅すぎる」と批判し、図書館分野では「地域の計画や意思決定推進のために、正確かつリアルタイムに近いデータが必要」と指摘しています。

英国の司書Ian Anstice氏が運営する、主に英国の図書館ニュースを紹介するウェブサイト“Public Libraries News”も、2022年3月6日付け記事の“Editorial”において本件に言及し、全国規模の公共図書館団体が公然とCIPFAを批判したことは「かなり驚くべきこと」(fairly stunning)だと述べています。

CIPFA comment: UK library income drops by almost £20m(CIPFA, 2022/2/10)
https://www.cipfa.org/about-cipfa/press-office/latest-press-releases/cipfa-comment-uk-library-income-drops-by-almost-20m

Why CIPFA libraries data is no longer fit for purpose(Libraries Connected, 2022/2/28)
https://www.librariesconnected.org.uk/news/why-cipfa-libraries-data-no-longer-fit-purpose

Ukrainian librarians, CIPFA “unfit for purpose” and the Wirral(Public Libraries News, 2022/3/6)
https://www.publiclibrariesnews.com/2022/03/ukrainian-librarians-cipfa-unfit-for-purpose-and-the-wirral.html

参考:
英国勅許公共財務会計協会(CIPFA)、英国の公共図書館に関する年次統計(2019/2020)を発表
Posted 2020年12月7日
https://current.ndl.go.jp/node/42706