カレントアウェアネス-E
No.135 2008.09.17
E833
ユネスコ,情報公開法に関する報告書の改訂第2版を刊行
2008年3月18日,ユネスコは情報公開法に関する国際的な動向について調査した報告書“Freedom of Information: A Comparative Legal Survey(情報の公開:比較法調査)”の第2版を公開した。
著者のメンデル(Toby Mendel)氏は今日の「知る権利」の状況について,2003年の初版(E169参照)刊行時の状況と比較して,世界の各地域で情報へのアクセスの権利を規定する法律が導入されていること,情報にアクセスする権利が表現の自由という基本的権利の一側面であると認識する重大な発展が生じてきていること,を指摘している。
本報告書は3章から構成されている。第1章では国際連合などの各種国際機関,米州機構などの地域的共同体などが公表している各種決議や文書,国際司法裁判所の判決などから,情報へのアクセスの権利に関する国際的な標準と動向について考察している。続く第2章では,第1章で考察した各種標準の関係を詳細に調査し,情報へのアクセスの権利の立法化に向けた要点を,次の9点であると分析する。すなわち,(1) 情報公開法による最大限の公開,(2) キーとなる情報の公表義務,(3) 開かれた政府の推進,(4) 公開制限範囲の明確化と範囲の限定,(5) 敏速かつ公平な情報アクセスを促進するプロセス整備,(6) 情報公開に要するコストの低廉化による公平なアクセス権の保証,(7) 各種会議の公開,(8) 情報開示を妨げる各種法律の改廃,(9) 内部告発者の保護,である。さらに第3章では英国,米国,日本など世界14か国の情報公開立法について,アクセス権,手続面の保障,出版義務,情報公開の制限,不服申立制度,制裁と保護,公開促進のための手段,の7つの側面から,比較検討している。
Ref:
http://portal.unesco.org/ci/en/ev.php-URL_ID=26267&URL_DO=DO_TOPIC&URL_SECTION=201.html
http://portal.unesco.org/ci/en/files/26159/12054862803freedom_information_en.pdf/freedom_information_en.pdf
E169