カレントアウェアネス-E
No.114 2007.09.26
E695
アフリカにおける全国書誌の現状
国際図書館連盟(IFLA)書誌分科会は2004年から,当該年の世界図書館情報会議(WLIC)開催国が含まれる地域の全国書誌編纂状況について調査を行い,その報告書を刊行している。2007年は南アフリカ共和国を含むアフリカ諸国を対象に調査が行われたが,このほど,その結果が報告書として刊行された。
今回の調査では,連絡先を確認できた44か国の機関に協力が依頼されたが,回答があったのはベニン,ボツワナ,ブルキナファソ,コートジボワール,ガボン,ガーナ,マダガスカル,セイシェル,タンザニア,チュニジアの10か国からであった。なお回答率の低さは,全国書誌を編纂していない国があること,質問書式が英語か仏語であったため,言葉が理解できないケースがあったこと,協力依頼の電子メールが届かなかったケースがあったこと等に起因するという。
回答を得た10か国の現状分析により,主に以下のような点が明らかになった。
- 法定納本制度は10か国とも整備しており,概ねその役割を果たしているが,長らく法改正がなされておらず,パッケージ系電子出版物や電子ジャーナル,電子ブックといった紙媒体以外の資料を対象にしていないケースが多い。
- 全国書誌はすべての国で整備されているが,紙媒体の資料についてしかカバーしていないケースが多く,また刊行の適時性に問題がある場合がある。
- ほとんどの国の全国書誌が,国際標準書誌記述(ISBD)やデューイ十進法分類(DDC)といった記述や分類の国際標準に準拠している。
- MARC形式で全国書誌を作成している国,インターネットで全国書誌を提供している国は,いずれもチュニジアただ1国であった。
各国による全国書誌の整備と国際的な連携をより推進していくためにも,世界各地の全国書誌の整備状況の実態を把握し,その情報を更新していくことは重要である。今回の調査は全国書誌の整備が比較的遅れている地域を対象としたものであり,改めて各国間の全国書誌整備状況の違いを確認することができたといえよう。
Ref:
http://www.ifla.org/VII/s12/pubs/Survey-Africa-report.pdf
http://www.ifla.org/VII/s12/annual/sp12.htm