E359 – デンマーク,ウェブ・アーカイブを制度化

カレントアウェアネス-E

No.63 2005.08.03

 

 E359

デンマーク,ウェブ・アーカイブを制度化

 

 デンマークで7月1日,ウェブ・アーカイブを制度化した改正法定納本法が施行された。今回の改正により,王立図書館とオーフス国立・大学図書館の2納本図書館は,「.dk」ドメイン下のウェブサイトおよびデンマーク国民を対象としたウェブサイトを収集・保存することが可能となった。両館は,共同・分担してウェブサイトのハーベスティングに当たることになっている。バルク収集を年4回行うほか,ニュースサイトや議会,テレビ・ラジオ局などのサイトについては,選択的収集としてより頻繁にハーベストする。また,選挙などイベントに関するサイトについても集中的に収集するとしている。収集したデータは一般公開はされず,当面,研究目的で許可を受けた人のみ利用できる。

 デンマークでは,1997年の法定納本法改正によって,ウェブ上の静的著作物(報告書など)の届出制による収集を実現していた。しかし,この制度では,更新されることを特徴とするウェブ情報資源の多くがカバーできず,発展を続けるウェブの文化を後世に十分伝えることができないと判断した。そこで,両館は2001年からnetarchive.dkという実験プロジェクトを立ち上げ,ハーベスティングの戦略,深層ウェブの収集技術,保存・提供のためのファイル・フォーマットなどに関する調査・研究を進めてきた。その調査結果が,2003年の文化省によるデジタル文化遺産に関する勧告に結びつき,それを受けて法定納本法が2004年12月に改正された。なお,今回の改正では,テレビ・ラジオ番組の納本規定も新たに加わっている。

Ref:
http://netarchive.dk/index-en.php
http://www.kb.dk/kb/dept/nbo/da/pligtafl/newlaw-en.htm
http://www.pligtaflevering.dk/online/vejledning.pdf
http://www.rlg.org/en/page.php?Page_ID=17661#article0
http://www.ndl.go.jp/jp/publication/proceedings/web_archive/websympo2002j.pdf
廣瀬信己. 北欧諸国におけるウェブ・アーカイビングの現状と納本制度. 国立国会図書館月報. (490), 2002, 14-22.