E1413 – 国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(ひなぎく)の公開

カレントアウェアネス-E

No.234 2013.03.28

 

 E1413

国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(ひなぎく)の公開

 

 国立国会図書館と総務省は,2013年3月7日に,「国立国会図書館東日本大震災アーカイブ」(愛称:ひなぎく)を正式公開した。本サービスでは,東日本大震災に関するあらゆる記録・教訓を次の世代へ伝え,被災地の復旧・復興事業や,今後の防災・減災対策に役立てるため,大震災に関する記録を一元的に検索可能とする。愛称を「ひなぎく」と名付けたのは,その花言葉「未来」「希望」「あなたと同じ気持ちです」に,復興支援という事業の趣旨を込めたからである。

 本サービスは,さまざまな機関・団体の協力によって成り立っている。まず,総務省と協力してシステム構築した上で,同省の支援により構築された被災地の五つのアーカイブと連携して,統合検索を可能とした(あおもりデジタルアーカイブシステム,陸前高田震災アーカイブNAVI,東日本大震災アーカイブFukushima,みちのく震録伝(東北大学),河北新報 震災アーカイブ)。また,ハーバード大学エドウィン・O・ライシャワー日本研究所2011年東日本大震災デジタルアーカイブ,神戸大学附属図書館震災文庫,日本原子力研究開発機構OPAC,NHK東日本大震災アーカイブス(日本放送協会),3.11忘れない ~FNN東日本大震災アーカイブ~(株式会社フジテレビジョン及びフジニュースネットワーク),東日本大震災写真保存プロジェクト(ヤフー株式会社),未来へのキオク(グーグル株式会社)等とも連携している。

 実際に検索できる対象は,官民を問わず,さまざまな機関・団体がそれぞれ尽力して,収集している貴重な記録である。形式的には,紙媒体を含め,特に,画像,動画,音声,ウェブサイト等の多様なデジタルコンテンツを収集対象としている。テーマとしては,東日本大震災に関する記録(原子力災害の記録も含む)や過去に発生した地震・津波・原子力災害に関する記録等を対象とする。公開時点の情報総数は,東日本大震災関連で約20万点,その他震災・原子力関連も含めると全体では200万点以上にのぼる。たとえば,国立国会図書館が収集した,国会原発事故調査委員会の映像や,被災自治体等の東日本大震災直後のウェブサイトをまとめて閲覧することができる。

 本サービスのトップページには,一般的なキーワード検索のほか,カテゴリー検索(検索キーワードが思いつかない場合に,資料種別,提供元,場所,日付等からコンテンツを検索することが可能),検索キーワードのランキング,閲覧数の多いコンテンツのランキング,写真,音声・動画の検索(ワンクリックで,その資料種別に含まれる検索結果を表示する),地図検索(場所に関するメタデータを用いて,地図上に検索結果を表示する),時系列検索(日付に関するメタデータを用いて,タイムライン上に検索結果を表示する)を用意した。

 検索結果一覧画面では,中央に連携先も含めた統合検索結果を表示し,左側には,結果を絞り込むためのファセット,右側には,他のサービスへの横断検索や他の検索語候補を表示して,検索を支援する。

 発災から3年目を迎え,今後は関連する資料の散逸の危険性が高くなっていくと危惧される。国立国会図書館は,国全体の取組みとして,コンテンツを保持する機関やアーカイブを運用する機関等にいっそうの協力をお願いし,大震災の記録を後世に伝えるとともに,生きた記録として,今なお継続する復興事業や防災・減災対策に活用されるよう努力していく。

(電子情報部電子情報サービス課次世代システム開発研究室)

Ref:
http://kn.ndl.go.jp/
http://www.ndl.go.jp/jp/news/fy2012/1199837_1827.html
http://www.ndl.go.jp/jp/news/fy2012/1199832_1827.html