カレントアウェアネス-E
No.170 2010.04.28
E1046
国立国会図書館,インターネット情報の制度収集を開始
2010年4月1日,国立国会図書館法の一部を改正する法律(平成21年法律第73号)(以下「改正法」という。)が施行され(E954参照),公的機関のインターネット情報の制度収集がスタートした。これは,ウェブサイトを含むインターネット上の情報が飛躍的に増大し,調査や研究等の資料として重要性が日々高まる一方で,それらを収集し,永続的な利用を保証する仕組みがないことに対応したものである。
国立国会図書館(NDL)は,2002年以来,「インターネット情報選択的蓄積事業(WARP)」として,発信者等との許諾に基づきインターネット情報の収集を実施してきたが,今回の法改正により,国等の公的機関が発信するインターネット情報を,許諾によらず収集できることになった。収集したインターネット情報はNDL館内の端末での閲覧が可能である。また,インターネット経由での提供については,発信者等の許諾に基づき実施する。なお,公的機関以外のインターネット情報については,これまでと同様に個別に発信者等の許諾を得て収集を行う。
改正法の施行により,WARPは,「インターネット資料収集保存事業」と名称を変更した。この事業では,収集したウェブサイトを提供するとともに,2010年5月からは,ウェブサイトに含まれる刊行物に相当する資料のみを検索・閲覧できるサービスも公開予定である。前者のサービス名を「インターネット資料収集保存事業(ウェブサイト別)」(以下「ウェブサイト別」という)とし,後者を「インターネット資料収集保存事業(著作別)」(以下「著作別」という)とする。
ウェブサイト別では,収集したウェブサイトを発信当時のままの姿で閲覧できることを目的としている。通常のHTML文書はもちろんのこと,技術的に可能な限り,動画ファイル等も含めて,当時のウェブサイトのコンテンツをそのまま再現している。収集したウェブサイトの検索機能として,全文検索のほか,ウェブサイトごとに付与したタイトル,URL等のメタデータによる検索も提供する。
著作別では,ウェブサイト別から刊行物に相当する資料のみを取り出しコンテンツとすることに加え,通常の収集手段である自動収集ソフトウェアでは集められないファイルのうち,行政省庁の報告書や地方公共団体の公報など重要な刊行物等について,発信機関に送信を求めることで収集する。これら刊行物等の検索機能として,全文検索のほか,刊行物等のタイトル単位や記事・論文単位で付与したメタデータによる検索も提供する。
NDLは,インターネット資料収集保存事業により,納本制度で収集している紙資料等と同様に,インターネット情報を収集・保存・提供し,広く利用に供するとともに,後世に伝えていくものである。
(関西館電子図書館課)
Ref:
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/internet_data.html
http://warp.da.ndl.go.jp/
http://warp2.da.ndl.go.jp/
E954