E954 – 政府系ネット情報の収集に関する国立国会図書館法の改正

カレントアウェアネス-E

No.154 2009.07.22

 

 E954

政府系ネット情報の収集に関する国立国会図書館法の改正 

 

 2009年7月10日に,国立国会図書館法の一部を改正する法律(平成21年法律第73号)が公布された。この法律は,国等の機関が発信しているウェブサイト等のインターネット情報を国立国会図書館(NDL)において複製して収集できることとするものである。2010年4月1日から施行される。

 対象となる機関は,国,地方公共団体,独立行政法人,国立大学法人等いわゆる「官庁納本」(国立国会図書館法第24条及び第24条の2)の対象となっている機関と同じである。

 収集方法は,主として収集用プログラム(クローラー)による自動収集を想定している。対象となる機関は,NDLによる自動収集を妨げるような設定を行っている場合には,それを許可する設定に変更する義務を負う。具体的には,サイトに置かれているrobots.txtファイルの変更が想定されている。また,技術的に自動収集ができないが,特に収集する必要性の高いものとして館長があらかじめ公示する類型のもの(例:紙で発行されていた雑誌がインターネット上に移行したもの等)については,発信している機関は,NDLからの求めに応じて同館に提供する義務を負う。この公示は,施行までの間に行われる予定である。

 以上の義務は,(1) 従来の出版物と著しく性質が異なり,窓口業務を代替するようなもの(例:電子納税システム,施設予約システム等)及び(2) 長期にわたって蓄積・提供することを目的としているもの(例:学術論文のデータベース等)に関しては,適用されない。(2)の場合は,義務を課してまで収集しなくとも,インターネット情報を長期に保存し,提供するという目的が達成されるためである。ただし,(2)について,事業終了等の理由により散逸するおそれがある場合には,NDLが収集することを想定している。

 この法律では,あわせて著作権法の改正も行われており,以上の法律に従って行われる収集に係る複製については,NDLが行うもの,NDLへの提供のために発信機関が行うものの双方とも,権利制限の対象となる。

 利用提供については,他の図書館資料と同様の扱いとなり,基本的に館内提供を行うこととし,許諾を得られたものに限り,インターネット提供することとなる。

 今回の法改正の対象となっていない機関(私立大学等)のインターネット情報については,NDLが2002年から行っているインターネット情報選択的蓄積事業(WARP)により,引き続き許諾を得て収集・蓄積・提供する。

(総務部企画課・川西晶大)

Ref:
http://www.ndl.go.jp/jp/news/fy2009/1187551_1393.html
http://kanpou.npb.go.jp/20090710/20090710g00146/20090710g001460004f.html