大学・研究図書館の将来についての調査レポート(米国)

米国大学・研究図書館協会(ACRL)が、大学・研究図書館の将来に関する環境調査(Environmental Scan)を行い、その結果をレポートとして公開しました。

これは、2003年に行われた環境調査に続くもので、2007年3〜4月にACRLが発表した「大学・研究図書館の将来に関する10大予測」およびこれに寄せられた意見等を元にまとめたものです。10大予測で挙げられた項目のほかに、

・市民参加やメディアリテラシーなど、館種を超えて共通の関心がもたれるようなテーマについて、協同が拡がる

・ITや学生向けサービスも含め、図書館の設備・サービスと、大学の研究・教育・学習プログラムとの統合が徐々に進んでいく。

・社会科学や人文科学の分野でe-Scienceやe-scholarshipのニーズが高まり、図書館のコアサービスの企画・提供に新しいアプローチが必要となる。

・大学図書館と大学出版会の役割が相補的になっていき、両者の協同が進展する。

・大学図書館にとってのフォーカスが、大規模なオンサイトの蔵書構築・蔵書管理から、図書館サービスの企画・提供に移っていく。

・ソーシャルコンピューティングのツール・技術は、図書館の資源・サービスの企画・提供に新しいチャンスをもたらす一方で、スタッフやシステムに一層の負担を強いる。

といった論点も挙げられています。

まとめとして、2003年の前回調査とは大きく変わったものの、教育プログラムにおけるライブラリアンの役割の増大、デジタル化事業の影響、学術コミュニケーションにおける出版産業の変化など、依然として大学・研究図書館の図書館員に大きく関係し続けている事項もある、と指摘されています。

なおこの環境調査については、米国図書館協会(ALA)冬季大会で公開討論されることになっています。

Environmental Scan 2007 / ACRL Research Committee
http://www.acrl.org/ala/acrl/acrlpubs/whitepapers/Environmental_Scan_2.pdf
ACRL explores the future of academic libraries – ALA
http://www.ala.org/ala/pressreleases2008/january2008/future08.htm

参考:
大学・研究図書館の将来についての10大予測(米国)
http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/car/index.php?p=3282