一部のコミックやグラフィックノベルを図書館から排除しようとする動き : 米国の図書館員の戦い(記事紹介)

米国の出版情報誌“Publishers Weekly”の2022年6月10日付の記事で、コミックやグラフィックノベルを図書館から排除しようとする動きに対する、米国の図書館員の戦いを紹介する記事“Comics Librarians Are Up for the Fight”が掲載されました。

記事では、保守的な団体が、ピューリッツァー賞やニューベリー賞の受賞作であったとしても、人種差別を助長したり、わいせつであるとして、図書館からの撤去や読書リストからの削除を要求している一方、図書館員は、そうした要求は、本の作者が黒人・ LGBTQである、クィアを題材としているために生じているものだと反論していることを紹介しています。

また、テキサス州では、図書館員がSNS上で嫌がらせを受けたり、要求の対象が学校図書館のみならず公共図書館に及びつつあること、インディアナ州では、図書館員(学校図書館、公共図書館を問わず)が、子どもに「有害」とみなされる本を購入することが罪となり得る法律が提案されているとしています。

このような動きに対し、米国図書館協会(ALA)は、世界中の読者に検閲への反発を促すことを目的に「#UniteAgainstBookBans」キャンペーンを開始したとしています。

Comics Librarians Are Up for the Fight(Publishers Weekly, 2022/6/10)
https://www.publishersweekly.com/pw/by-topic/industry-news/libraries/article/89572-comics-librarians-are-up-for-the-fight.html

参考:
米国図書館協会(ALA)、図書館におけるマンガの検閲に関する委員会を設置:情報提供を呼び掛け
Posted 2022年4月19日
https://current.ndl.go.jp/node/46009

E639 – グラフィックノベル事始め
カレントアウェアネス-E No.105 2007.04.25
https://current.ndl.go.jp/e639