2021年9月20日、米・SPARCが、学術図書館における新型コロナウイルス感染症の財政的影響や対応等についての調査結果の公開を発表しています。
同調査は、パンデミックによりもたらされた予算面での課題や対応について、それらがコンテンツ・コレクション・オープンアクセス(OA)に関する取組等へのアプローチに及ぼした影響に焦点を当てつつ、明らかにするために実施されました。調査期間は2021年1月19日から2月26日までで、米国・カナダ・オーストラリアの機関から、117件の完全な回答と20件の部分的な回答が寄せられました。
主な結果として、以下をはじめとした内容が挙げられています。
・80%近くの図書館が、新型コロナウイルス感染症による予算削減を余儀なくされ、多くが継続的な予算削減となる可能性が高いと考えている。
・多くの図書館が、出版者との契約に関する再交渉や、ビッグディール契約の見直し(個別契約への変更)を行っている、または、行うことを検討していると回答した。
・OAに関する取組への次年度の投資は、50%が現状維持、35%が増加すると回答した。
・新型コロナウイルス感染症に関連した閉鎖により、デジタルコンテンツの提供機関およびオンライン教育の支援機関としての図書館の重要性が強化されたと回答した。
・図書館の管理職からは、物理的な空間へのアクセスができない状況で図書館を運営したことによる長期的な影響、職員の士気への影響、新たな計画を実施できないこと等への懸念が示された。
SPARC Releases Results of Survey on the Impact of COVID(SPARC, 2021/9/20)
https://sparcopen.org/news/2021/sparc-releases-results-of-survey-on-the-impact-of-covid/
COVID IMPACT SURVEY [PDF:53ページ]
https://sparcopen.org/wp-content/uploads/2021/09/SPARC-COVID-Impact-Survey-092021.pdf
参考:
米・ITHAKA S+R、大学図書館の指導者層を対象とした新型コロナウイルス感染症影響下の戦略・予算編成に関する調査報告書を公開
Posted 2020年12月14日
https://current.ndl.go.jp/node/42752
米・マサチューセッツ大学アマースト校図書館、2021会計年度に資料購入費を44万5,000ドル削減
Posted 2020年9月1日
https://current.ndl.go.jp/node/41882