米・ITHAKA S+R、大学図書館の指導者層を対象とした新型コロナウイルス感染症影響下の戦略・予算編成に関する調査報告書を公開

2020年12月9日付で、米国のIthaka S+Rは、大学図書館の指導者層を対象とした新型コロナウイルス感染症影響下の戦略・予算編成に関する調査報告書を公開しました。

Ithaka S+Rは2010年から、米国の非営利4年制大学の図書館長等を対象として、大学図書館の戦略に関する調査を3年ごとに実施しています。3年の周期を空けた調査は傾向の追跡に適していましたが、2020年4月の2019年版調査結果の公開直後から、新型コロナウイルス感染症の感染拡大と人種差別反対運動の高まりが大学図書館に急速に影響を与えていることを認識し、Ithaka S+Rは3年の周期を逸脱して2020年秋に追加調査を実施する準備を整えました。

第1弾として、新型コロナウイルス感染症の影響に関する調査報告書が公開されています。調査は2020年9月に行われ、対象者全体の43%に当たる638の回答に基づいて報告書が作成されました。報告書は次のような所見を示しています。

・感染症が図書館の電子リソースやオンラインサービスへの投資を加速させた
・図書館は研究・教育・学習をリモートで支援する拠点として機関の指導者層から評価されている
・職員の健康と財務責任が図書館の意思決定における優先事項である
・多くの図書館が2020-2021年度予算の削減に直面し長期的な財政の見通しが不安定である
・物理的な図書館スペースで働く職員が最も人員削減の影響を受けている

公平性・多様性・包括性、及び反人種主義に関する調査結果の報告書は、2021年初頭に公開される予定です。

The Impact of COVID-19 on Academic Libraries(Ithaka S+R,2020/12/9)
https://sr.ithaka.org/blog/the-impact-of-covid-19-on-academic-libraries/

Academic Library Strategy and Budgeting During the COVID-19 Pandemic(Ithaka S+R,2020/12/9)
https://doi.org/10.18665/sr.314507

参考:
E2285 – 米国における大学図書館の図書館長等の意識調査2019年版
カレントアウェアネス-E No.395 2020.07.30
https://current.ndl.go.jp/e2285

米国図書館協会(ALA)、新型コロナウイルス感染症に関する声明を発表
Posted 2020年3月16日
https://current.ndl.go.jp/node/40496

米国図書館協会(ALA)、黒人・先住民・有色人種(BIPOC)、抗議デモへの参加者・ジャーナリストへの警察の暴力を非難する声明を発表
Posted 2020年6月12日
https://current.ndl.go.jp/node/41205