2020年11月16日付で、ドイツ国立科学技術図書館(TIB)が、同館の運営する科学技術動画提供のためのポータルサイト“TIB AV-Portal”の概要や機能開発の歴史を紹介したブログ記事を公開しています。
TIB AV-Portalは、2020年11月時点で科学技術分野を中心とする動画コンテンツ約3万点を収録したポータルサイトです。動画内の場面・セリフ・テキスト・画像等を自動解析する機能や、デジタルオブジェクト識別子(DOI)の付与、コンテンツの長期保存の実施、コンテンツに関連した学術論文・研究データ等に対するリンク形成などをその特徴としています。
TIB AV-Portalは、2011年にTIB内の研究室で開発が始まり、2014年春のオンライン化、セマンティックソリューションを扱うyovisto社によるTIBの仕様に基づいた運営等を経て、2020年までにTIBへ運営・開発主体が完全移行しました。TIBは2018年9月に同ポータルに専従する開発チーム(Scrum team)を設置しており、ブログ記事では、開発チームが実現した主要な機能やサービスとして、次のようなことが紹介されています。
・最新の動画・人気のある動画のブロック分けによる表示、ユーザーの視聴履歴に基づく推薦動画の提供などトップページのデザインをリニューアル
・動画の詳細ページについて、ソーシャルメディア等への共有・プレイリストにシリーズ動画の他のコンテンツの表示・BibTeXやRIS等の形式による引用データの提供・プラグインを利用した文献管理ツールへの直接インポート・再生回数の表示・出版社のロゴの表示などの機能を実装
・再生速度の変更・キーボードによる操作・再生終了後の繰り返し再生や別コンテンツの自動再生に関するオプションの追加などの動画再生プレーヤーの機能充実
・再生時間・作者・再生回数・公開年・出版社・抄録などの表示や、サムネイル画像の拡大化、プレビューの表示、1ページ当たりの件数の増加など、検索結果一覧画面内の情報の充実
・再生時間や公開年によるフィルタリング、動画の詳細ページにおける作者・投稿者・出版社・研究分野・キーワード等からの直接の検索、検索語の部分的なタイプミスを許容する最小一致方式への検索システムの変更、場面認識に関するオープンソースのソフトウェア“PySceneDetect”の実装など、検索・分析機能の拡張
・コンテンツの動画詳細ページに表示される識別子に、非営利団体Entertainment Identifier Registry Associationの整備する映画やテレビ番組を対象とした識別子EIDR・米国の図書館等のネットワークLYRASIS傘下の非営利団体DuraSpaceの整備する研究者ディレクトリVIVO・組織IDのRORを新たに追加
・旧国立科学映画研究所(Instituts für den Wissenschaftlichen Film)の所蔵する民族学分野の映画1,953タイトルのデジタル化プロジェクトDELFT(Digitalisierung EthnoLogischer FilmbesTand)の完了とポータル上での提供
・フロントエンド・バックエンドをTIBの基盤へ完全移行したことによる、外部依存性の低減や、安定高速処理の実現などのパフォーマンス向上
More user-friendly – more functional – more dynamic. About the continuous and agile development of the TIB AV-Portal(TIB Blog,2020/11/16)
https://blogs.tib.eu/wp/tib/2020/11/16/more-user-friendly-more-functional-more-dynamic-about-the-continuous-and-agile-development-of-the-tib-av-portal/
TIB AV-Portal
https://av.tib.eu/
参考:
ドイツ国立科学技術図書館、DuraSpaceの会員に:VIVOの開発を支援
Posted 2017年5月19日
https://current.ndl.go.jp/node/34009
ドイツ国立科学技術図書館(TIB)、ドイツの“Library of the Year 2020”に選出:ゴータ市立図書館が優秀な小規模自治体・地域の図書館として併せて選出
Posted 2020年6月17日
https://current.ndl.go.jp/node/41244
E1498 – フランスの高等教育デジタル化政策と国営MOOCsポータル
カレントアウェアネス-E No.248 2013.11.07
https://current.ndl.go.jp/e1498