米国国立衛生研究所(NIH)、データサイエンス・オープンサイエンスに従事する図書館員に必要なスキルセット特定を目的とした2019年4月開催ワークショップの報告書を公開

米国国立衛生研究所(NIH)が2020年1月17日付で、非営利団体Center for Open Science(COS)の提供するオープンソースプレプリントサービスOSF Preprints上に、報告書“Developing the Librarian Workforce for Data Science and Open Science”が公開されました。

同報告書は、2019年4月15日・16日に、NIHの一部門である米国国立医学図書館(NLM)で開催されたデータサイエンス・オープンサイエンスに従事する図書館員に必要なスキルセットの特定を目的としたワークショップについて、その議論や主要テーマを要約したものです。ワークショップにはデータサイエンス・オープンサイエンスに関するサービスを提供する実務者や学術研究の場におけるデータサイエンス・オープンサイエンスの推進に携わる図書館情報学分野の教員等が参加しました。

ワークショップでは、主に次の5つのテーマに関する議論が行われています。

1. 組織環境、研究者の様々なニーズ、図書館員のサービス伝達方法等に焦点を当てたデータサイエンス・オープンサイエンスの概略
2. 図書館員と利害関係者とのコミュニケーション、プログラムやサービスの影響力に関する評価、データサイエンス・オープンサイエンス担当チームの統合といった、図書館員にとってのサービス提供の課題と機会
3. 図書館情報学分野ですでに教育されているスキル、必要とされるスキル、図書館員への教育に資する既存のリソースの決定等を行うための、データサイエンス・オープンサイエンスに従事する図書館員の中核的なスキル
4. 急速に変化する技術的・政策環境で、研究成果の持続可能性や、研究の再現性を高めデータサイエンス・オープンサイエンス推進者としての図書館員に求められる役割に対処できるような、サービスの将来的展望
5. 研修がまだ実施されていない分野の特定、図書館情報学分野や利害関係者による研修の欠落への対処手段の検討を通した、図書館員への教育に対する現在および将来の展望

報告書内で提示された知見は、次のような点で役立つものである、としています。

・データサイエンス・オープンサイエンス業務に従事し新しいスキルや専門性の習得に関心を持つ図書館員に対するロードマップの提供
・図書館員の育成やデータサイエンス・オープンサイエンスサービスにおける図書館の役割の主張を意図する図書館長等の図書館管理者に対する情報提供
・中核的スキルに関する議論を通した、図書館情報学の専門家養成に携わる全ての利害関係者に対するデータサイエンス・オープンサイエンス業務に携わる図書館員に必要なスキルの手引きとしての役割

Developing the Librarian Workforce for Data Science and Open Science(OSF Preprints,2020/1/17)
https://doi.org/10.31219/osf.io/uycax

Developing the Librarian Workforce for Data Science and Open Science [PDF:44ページ]
https://osf.io/uycax/download

参考:
研究データ管理に関する無料の図書館員向けオンライン講座“Research Data Management Librarian Academy”が開始
Posted 2019年10月10日
https://current.ndl.go.jp/node/39242

【イベント】講演会「オープンサイエンス時代の大学図書館-これから求められる人材とは―」(2/13・京都)
Posted 2018年12月4日
https://current.ndl.go.jp/node/37153

米国国立衛生研究所(NIH)、米国国立医学図書館(NLM)を改革する戦略的ビジョンについて承認
Posted 2015年6月16日
https://current.ndl.go.jp/node/28682