2019年10月17日、オーストラリア大学図書館員協議会(CAUL)と英国微生物学会(Microbiology Society)は、試験的なオープンアクセス(OA)等に関する出版契約として、2年間の“Publish and Read”契約を締結したことを発表しました。
CAULにとって今回の契約は出版社と締結する初めてのOAへの「転換契約(transformative/transitional agreement)」です。同契約はオプトイン方式による2020年から2021年までの試験的な契約です。オーストラリア及びニュージーランドの契約参加機関に所属する研究者は、英国微生物学会の刊行する雑誌へ著者として掲載された全ての研究成果が初めからOAで公開されると同時に、学会の刊行するコンテンツについて1947年までのアーカイブも含めて全てアクセス可能になります。
CAULはこの契約について、ウェルカム・トラスト等による、学会系出版社の即時オープンアクセス(OA)転換とPlan S原則に準拠した「転換契約」締結支援プロジェクト“Society Publishers Accelerating Open access and Plan S (SPA-OPS)”を通して、締結の機会が生じたことを説明しています。また、英国微生物学会との契約状況として、これまでオーストラリアから20館・ニュージーランドから5館の大学図書館がそれぞれ購読契約を結び年間費用は10万ポンドを超えていたこと、2016年から2018年まで25大学が年間平均40本の論文を同学会の雑誌で公開していること、年間約2万ポンドに相当する論文処理費用(APC)がこれらの論文の約3分の1をOA化するために支払われていたことを解説しています。
契約は英国微生物学会が刊行する6誌すべてに適用されます。また、同学会は査読の過程で、オーストラリア・ニュージーランドの機関の著者に対してこの契約について通知し、機関リポジトリへのアーカイブ用に出版社版(version of record)PDFを提供する、としています。
First transformative agreement for Australia and New Zealand(CAUL,2019/10/17)
https://www.caul.edu.au/news/first-transformative-agreement-australia-and-new-zealand
Transitional open access agreement signed between the Microbiology Society and the CAUL Consortium(Microbiology Society,2019/10/17)
https://microbiologysociety.org/news/society-news/transitional-open-access-agreement-signed-between-the-microbiology-society-and-the-caul-consortium.html
参考:
英・Jisc、英国微生物学会(Microbiology Society)と2年間の“Publish and Read”契約を締結
Posted 2019年10月18日
https://current.ndl.go.jp/node/39296
学会・専門協会出版協会(ALPSP)、学会系出版社の即時オープンアクセス転換とPlan S原則に準拠した「転換契約」締結を支援するプロジェクトの成果物として報告書とツールキットを公開
Posted 2019年9月17日
https://current.ndl.go.jp/node/39036