DataCiteとFAIRsharingが研究データリポジトリの推奨基準改善のための共同取り組みを開始

研究データ等にデジタルオブジェクト識別子(DOI)を提供する非営利組織“DataCite”は、2019年10月4日付のブログ記事において、英国オックスフォード大学に拠点を置くデータ共有のためのレジストリサイト“FAIRsharing”と覚書(Memorandum of Understanding)を取り交わし、研究データリポジトリの推奨基準改善のため共同して取り組むことを発表しました。

研究者は、助成機関や出版社から、研究成果物の基礎となる研究データの共有を求められるようになり、どこに保存するか、どのメタデータ標準が関わるかに関する手引きが重要になっています。しかし、現在は様々な組織のリポジトリが独自の基準を持っており整合していない状況にあります。共通の基準を使用しているリポジトリのリストがあれば、編集者や出版者の時間を節約し、著者にも一貫した手引きを提供できるということが共同取り組みの背景です。また、この取り組みにあたっては、現在両組織が実施中の研究データリポジトリの推奨基準を特定する共同プロジェクトも関連している、としています。

両組織は2019年末までに推奨基準の最終版を公開することを目標に掲げています。成果物となる推奨基準はFAIRsharingによって実装され、出版社はこれに基づいて推奨リポジトリを立ち上げることができるようになる予定です。また、Dataciteは欧州規模で展開されているFAIR原則の実現に必要な知識等を促進するプロジェクト“FAIRsFAIR project”で成果物となる推奨基準を活用する予定です。

MoU between DataCite and FAIRsharing: improving criteria for the recommendation of data repositories(DataCite Blog,2019/10/4)
https://blog.datacite.org/mou-between-datacite-and-fairsharing/

参考:
E1946 – 研究データリポジトリの現状<文献紹介>
カレントアウェアネス-E No.331 2017.08.24
https://current.ndl.go.jp/e1946

E2162 – どの研究データを保存すべきか:英・Jiscによる調査レポート
カレントアウェアネス-E No.373 2019.07.25
https://current.ndl.go.jp/e2162

E2052 – FAIR原則と生命科学分野における取組状況
カレントアウェアネス-E No.353 2018.08.30
https://current.ndl.go.jp/e2052