2019年7月18日、米・コーネル大学が運営するプレプリントサーバarXivのブログarXiv.orgに、2019年5月31日に改訂された「Plan S原則」、「Plan Sの実現にかかる手引き」に基づいて、Plan S準拠のためのarXivにおける技術的な考慮事項に関する記事が投稿されました。
arXivは記事の中で、改訂版「Plan Sの実現にかかる手引き」はより内容が明確で達成可能なものになったと評価し、改訂版の手引きで示された「OAリポジトリの要件(Part III Section 2.1 (Requirements for Open Access repositories))」に基づき、技術的な考慮事項を次のように表明しています。
・必須要件(Mandatory criteria)について、arXivはほぼ全て達成しているが、資金調達情報を信頼でき、かつ維持可能な形で追跡できる機能を欠いており、これを達成するツール開発の援助を外部の組織や個人に求めている。
・追加が強く推奨される要件(Strongly recommended additional criteria)については、「機械を含む他の利用者のコンテンツアクセスを可能にするオープンなAPIの提供」、「OpenAIREに準拠したメタデータ」など、一部達成済の事項もある。
・しかし、「個々の著者の原稿のアップロードと出版社による原稿一括アップロードの両方をサポートするシステム」、「JATS相当のXMLのような機械可読かつコミュニティ標準形式で保存されたフルテキスト」、「I4OCの標準に従ったオープンサイテーションデータ」など推奨要件の多くは未達成である。
・必須要件で挙げられた「ヘルプデスクは当日中の応答を保証」については例外を許さないのかなど、手引きの中にはまだ不明確な部分がある。
Technical Considerations for arXiv Compliance with Plan S(arXiv.org blog, 2019/7/18)
https://blogs.cornell.edu/arxiv/2019/07/18/technical-considerations-for-arxiv-compliance-with-plan-s/
参考:
Coalition S、「Plan Sの実現にかかる手引き」の改訂を発表:効力発生は2021年1月1日からへ延期
Posted 2019年6月6日
http://current.ndl.go.jp/node/38293
arXiv、Plan Sの実現にかかる手引きへのフィードバックを発表
Posted 2019年2月7日
http://current.ndl.go.jp/node/37544
cOAlition S、業務計画と優先取組事項を発表
Posted 2019年7月17日
http://current.ndl.go.jp/node/38609