2018年2月21日付けのORCIDのブログで、Springer Nature社が同社の46誌を対象に2017年4月から6か月間実施した、ORCID idを義務化するトライアルの結果を同社の担当者が報告しています。
記事では、義務化を拒否する著者はおらず、研究コミュニティからの反応は肯定的と判断でき、また、同社の14のNature系の雑誌では、論文の受理時にORCID idを提供した責任著者の割合が試験期間中37%から96%に増加したこと(100%とならなかったのは技術的な問題)に加え、トライアル対象外のNature系の雑誌でも26%から45%へ増加したことや、同社のBMCやSpringer系の雑誌では、ORCID idについて責任著者と共著者をわけて追跡することができなかったものの、トライアルに参加した雑誌のORCID id付与率の増加が、義務化していない他の雑誌と比較すると2.5倍速かったことが紹介されています。
また、Nature系の雑誌では、トライアル開始とともに原稿追跡システム(Manuscript Tracking System)上で新しいユーザアカウントとORCIDとをリンクする割合が増加したことも紹介されています。
同社ではトライアルは成功したと考えており、期間終了後も同取組はトライアル対象誌で継続中です。また、ORCID idの義務化の対象誌の拡大について評価中で、研究分野による義務化への態度の違いに関する調査や、義務化の拡大のための課題解消を目的とした技術面やワークフローの改善について検討しています。
ORCID Mandate Trial at Springer Nature(ORCID,2018/2/21)
https://orcid.org/blog/2018/02/21/orcid-mandate-trial-springer-nature
参考:
Springer Nature社、ORCIDの活動を支援する2つの事業の開始を発表
Posted 2017年5月1日
http://current.ndl.go.jp/node/33935