途上国において図書館を通じてデジタル情報へのアクセスを推進しているEIFL(Electronic Information for Libraries)が、ミャンマーにおいて2013年12月から2017年12月まで実施しているプロジェクト“e-Library Myanmar Project”について、2016年7月23日付で、オックスフォード大学出版局のブログに、プロジェクトのコーディネーターであるMyat Sann Nyein氏がプロジェクトの影響と課題を述べた記事が掲載されています。
同プロジェクトは、ミャンマーの大学図書館に、電子ジャーナル・データベース・電子書籍などの電子資源を提供することで、あらゆる分野の教育・研究・学習を提供するものです。
当初ヤンゴン大学とマンダレー大学の2つの大学においてはじめられ、現在7つの大学が参加しており、それらの大学の16万人以上の学生と約4,000人の職員が1万4,000のジャーナルと15万件の電子書籍にアクセスできるようになったことが紹介されています。
一方で課題としては、
・図書館や図書館員の役割が50年以上にわたって軽視されており、図書館の重要性や図書館の能力開発が見過ごされてしまっていること
・インターネットの帯域幅の狭さ
・機関における固定IPアドレスの取得が難しいこと
・特に夏場に電力供給が不安定であること
・暗記学習が数十年にわたって標準であること
・ITや英語、情報リテラシーに関する能力が低い図書館員がいること
・質の高い本を所蔵する図書館はきわめて少なく、ミャンマーの図書館で所蔵する多くの本は、古く、損傷してしまっていること
・政府の外国為替規制の予算制約によって、特に外国資料のコレクションが貧弱であること
などが挙げられています。
Transforming libraries in Myanmar: The e-Library Myanmar Project(OUPblog)
http://blog.oup.com/2016/07/libraries-in-myanmar/
eLibrary Myanmar Project(EIFL)
http://www.eifl.net/eifl-in-action/elibrary-myanmar-project
Myanmar(EIFL)
http://www.eifl.net/country/myanmar
参考:
EIFL、2016年1月からミャンマーで”eLibrary Myanmar Project”の第2期を開始
Posted 2015年12月11日
http://current.ndl.go.jp/node/30198
EIFL、マンダレイ大学・ヤンゴン大学と共同で、OAポリシー策定およびリポジトリ運営開始のためのセミナー等を実施(ミャンマー)
Posted 2016年2月10日
http://current.ndl.go.jp/node/30695