2016年5月31日、Ingenta社の出版コンサルタント部門Publishers Communication Group(PCG)が、2016年の学術・専門図書館の予算に関するホワイトペーパー”Library Budget Predictions for 2016”を公開しました。
このホワイトペーパーは大学・研究機関や企業、政府、病院等の図書館の、予算に関する権限・知識を持つ図書館員を対象とする電話調査の結果に基づくもので、調査には世界中の686機関が回答したとされています。調査結果の実数そのものではなく、世界全体における各国の図書館予算の割合に基づき重みづけした結果が報告されています。
結果の概要によれば、既にマーケットが成熟した国では予算の増加は少なく、北米では前年比1%程度の増加、ヨーロッパでは0.1%程度の減少が見込まれるとのことです。特に北米では図書向け予算は1.9%の増加が見込まれるものの、雑誌予算は0.2%の増加にとどまるとされており、多くの雑誌の購読中止が発生すると見込まれています。一方、南アメリカや中東、アフリカ、アジアでは数%程度の予算増が見込まれていますが(アジアについては中国・インド等の影響)、一昨年から昨年の増加に比べると、増加の幅が小さくなった地域が多いとのことです。世界全体では前年比1.4%程度の増加になるだろうとしています。
ホワイトペーパーではそのほかにディスカバリサービスや機関リポジトリの導入状況等についてもまとめられています。
Library Budget Predictions for 2016(PCG)
http://www.pcgplus.com/wp-content/uploads/2016/05/Library-Budget-Prediction-2016-Final.pdf
Institutional library budgets set to increase, global study concludes(Ingenta、2016/5/31付け)
http://www.ingenta.com/news-article/institutional-library-budgets-set-increase-global-study-concludes/
Institutional library budgets set to increase, global study concludes(STM Publishing News、2016/5/31付け)
http://www.stm-publishing.com/institutional-library-budgets-set-to-increase-global-study-concludes/
参考:
冊子体学術雑誌の講読キャンセルの動向
Posted 2007年12月7日
http://current.ndl.go.jp/node/6950
Publishers Communication Groupがオープンアクセスにおける組織内での図書館の役割に関する報告書を公開
Posted 2014年10月21日
http://current.ndl.go.jp/node/27262