2015年5月14日にPhysical Review Letters誌に掲載された論文”Combined Measurement of the Higgs Boson Mass in pp Collisions at √s = 7 and 8 TeV with the ATLAS and CMS Experiments”が、これまでの論文著者数の記録を打ち破るものであるとNature誌オンライン版で報じられています。同論文の著者数は5,154人です。
同論文は欧州原子核研究機構(CERN)の大型ハドロン衝突型加速器((Large Hadron Collider: LHC)を用いた2つの研究チームの実験データに基づき、ヒッグス粒子の高精度な質量推定を行ったものです。高エネルギー物理学分野では1,000人を超える研究者が著者として関わる論文も少なくなく、LHCによる実験に基づく論文としては過去にも3,000人前後の著者が関わる論文が発表されていました。今回の論文の著者数が5,000人を超えたのは、そのような大規模研究チームの成果を2つまとめて分析しているためです。
なお、同論文は全体で33ページありますが、そのうち本文と引用文献等は9ページで、24ページが著者名と著者所属機関名の表記にあてられています。
G. Aad et al. Combined Measurement of the Higgs Boson Mass in pp Collisions at √s = 7 and 8 TeV with the ATLAS and CMS Experiments. Physical Review Letters. 2015, 114, 191803. http://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.114.191803
Physics paper sets record with more than 5,000 authors(Nature、2015/5/15付け)
http://www.nature.com/news/physics-paper-sets-record-with-more-than-5-000-authors-1.17567
世界最多、科学者5000人が関わった論文公開(ニュースイッチ、2015/5/17付け)
http://newswitch.jp/p/644
参考:
欧州原子核研究機構(CERN)、実験データ等を公開するポータル“CERN Open Data Portal”を公開
Posted 2014年11月25日
http://current.ndl.go.jp/node/27498
Elsevier社がLHC実験プロジェクトの論文をOAにすると発表
Posted 2008年9月25日
http://current.ndl.go.jp/node/8890