2014年10月27日、OCLC Researchが、典拠ファイルや識別子システムへの研究者の登録に関するレポート“Registering Researchers in Authority Files”を公表しました。研究機関や研究者自身のいずれにとっても、学術的な成果を各研究者の業績として管理するにあたって、典拠ファイルや識別子を付与するシステムに研究者を登録する必要性が高まっているとのことです。米国、英国およびオランダの専門家13名によるタスクグループで検討されたものとのことです。
このレポートでは、研究者の識別子について、研究者、助成機関、大学当局、図書館員、識別子システム、アグリゲータ(出版社を含む)を対象に、必要な機能要件と提言を提示するものとのことです。
ポイントは以下の通りです。
・助成機関や出版社は研究者IDを採用しているが、研究機関や図書館にとっても、著者が“紐づけられていない”のかどうか、また、著者とその学術的成果を紐づける永続的な識別子の必要性の認識は重要である。
・それぞれの識別子システムは重複する部分もあるが、どれも1つですべての研究者および必要な機能を備えているとは言えず、システム間の連携がきわめて重要となる。
・新しい学術コミュニケーションの方法は、その成果を正しい研究者や研究者の所属機関と紐づける永続的な研究者IDの必要性を高めている。
・助成機関は当該機関が支援した研究のインパクトについて、効果的かつ拡張性のある方法で追跡するのに永続的な識別子が重要であるとしている。
・システム間の相互運用性は高まっているが、異なった識別子のシステムを利用したフォーマットやデータの要素の相互運用性は低い。
・第三者機関による調整や異なった識別子システム間のリンクを提供するサービスには大きな可能性がある。
Registering Researchers in Authority Files(OCLC Research, 2014/10/27)
http://www.oclc.org/research/publications/library/2014/oclcresearch-registering-researchers-2014-overview.html
Registering Researchers in Authority Files
http://www.oclc.org/content/dam/research/publications/library/2014/oclcresearch-registering-researchers-2014.pdf
参考:
CA1740 – 動向レビュー:著者の名寄せと研究者識別子ORCID / 蔵川 圭
カレントアウェアネス No.307 2011年3月20日
http://current.ndl.go.jp/ca1740