欧州におけるダイヤモンドオープンアクセスを推進するためのプロジェクトDIAMAS、持続可能な機関出版に向けた調査レポート“IPSP Sustainability Research Report”を公開

2024年4月2日、欧州におけるダイヤモンドオープンアクセス(OA)を推進するためのプロジェクトDIAMASが、持続可能な機関出版に向けた調査レポート“IPSP Sustainability Research Report”を公開しました。

本レポートは、欧州における機関出版とその担い手にとって財務的な持続可能性とはどのようなことかを明らかにした調査結果です。本調査はDIAMASの一環として実施されました。

DIAMASでは、研究機関、研究資金提供機関、学会などによる学術出版を「機関出版」(institutional publishing)と位置付け、営利的な商業出版と区別しています。また、機関出版の担い手である機関出版者及び機関出版者へのサービスプロバイダーを「機関出版サービスプロバイダー」(Institutional Publishing Service Provider:IPSP)と呼んでいます。

同レポートの要約によると、IPSPは、より多くの財源、人員の安定性と永続性、親組織への依存の緩和が課題であると認識しており、機関出版の持続には資金提供機関との安定かつ長期的な協力が必要であり、個々の機関の枠を超え検討を行うべきであると考えています。同レポートは、これまで機関出版に大きな役割を果たしてきた大学、大学図書館、研究機関、公的機関などが評価され、これらが今後も機関出版を支援していくこと、また多くの中小規模のIPSPに向けインフラの提供が行われること、IPSP間でのリソースの共有が可能にされることが必要であると指摘しています。

Understanding the financial sustainability of institutional publishers and service providers in Europe(DIAMAS)
https://diamasproject.eu/understanding-the-financial-sustainability-of-institutional-publishers-and-service-providers-in-europe/

D5.1 IPSP Sustainability Research Report (1.0). (Zenodo, 2024/4/2) https://doi.org/10.5281/zenodo.10907086

関連:
What are IPSPs & why are they important for DIAMAS?(DIAMAS)
https://diamasproject.eu/what-are-ipsps-why-are-they-important-for-diamas/

参考:
欧州におけるダイヤモンドオープンアクセスを推進するためのプロジェクトDIAMAS、学術機関による出版に関する調査結果を公開[2024年02月21日]
https://current.ndl.go.jp/car/210432