公益社団法人日本文藝家協会が2012年9月18日付けで「図書館業務の民間委託についての提言」を公表しました。各都道府県の教育長宛てに送付されたもののようです。
営利目的の民間業者への業務委託によって公共図書館の使命(ここでは、国民の知る権利等に応えるために、多様な蔵書の構築、レファレンスサービスの提供、書籍の無償貸出を行うことであるとされています)が損なわれることについての危惧を述べ、公共図書館及び、指定管理者として業務を委託された民間業者に対して、以下の5点を提言しています。
(1)地域住民の、知る権利、学ぶ権利、文化を享受する権利等に応えるために、司書職員を必ず配置し、できる限り多様な書籍を揃える。とくに純文学、児童文学、評論、詩歌、学術の入門書、専門書等を充実させる。
(2)ベストセラーになっているような書籍を複本(同じ本を何冊も揃える)として多量に置かない。
(3)レファレンス・サービスを充実させる。
(4)書き下ろし文庫などの廉価本は、発売後一定期間を置いてから貸出を始める(著作権者の生活を守るための配慮です)。
(5)貸出に際してポイントサービスなどの営利企業のシステムをもちこまない。ポイント制については、会員各位から、いたずらに青少年の利欲を刺激して煽る懸念があり、教育的配慮に欠けるのではないか、と特に危惧する意見が出ています。何冊借りたかではなく、何冊きちんと読んだかが、読書の本来ではないのかといった慎重な意見が多いことを申し添えておきます。
図書館業務の民間委託についての提言(PDF:2ページ)
http://www.bungeika.or.jp/pdf/20120918_1.pdf
日本文藝家協会
http://www.bungeika.or.jp/
図書館のポイント付与に“待った”「青少年の利欲刺激」日本文芸家協会(MSN産経ニュース 2012/9/20付け記事)
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120920/bks12092000280000-n1.htm
参考:
佐賀県武雄市図書館へのスターバックス出店が決定
http://current.ndl.go.jp/node/21610
佐賀県武雄市図書館の指定管理者にカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社を指定する議案が可決
http://current.ndl.go.jp/node/21397
佐賀県武雄市図書館に指定管理者制度を導入する条例改正案が可決
http://current.ndl.go.jp/node/21183
日本図書館協会(JLA)が「武雄市の新・図書館構想について」を公表
http://current.ndl.go.jp/node/20984
図書館問題研究会、佐賀県武雄市に対する要請「新・図書館構想における個人情報の扱いについて」を公表
http://current.ndl.go.jp/node/20969
佐賀県武雄市とカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社が同市図書館・歴史資料館の企画・運営に関して基本合意を締結
http://current.ndl.go.jp/node/20784