2012年3月16日に、文部科学省は、第180回国会に提出された「著作権法の一部を改正する法律案」を公表しました。同省の公表した概要資料によると、改正の趣旨は、デジタル化・ネットワーク化の進展に伴い、(1)著作物の利用形態の多様化等が進む一方、(2)著作物の違法利用・違法流通が常態化しているとして、(1)の観点から、著作物等の利用を円滑化するため、いわゆる「写り込み」等に係る規定等を整備すること、(2)の観点から、著作権等の実効性確保のため、技術的保護手段に係る規定を整備することにあるようです。さらに、改正の概要のうち、著作権等の制限規定の改正(著作物の利用の円滑化)については、いわゆる「写り込み」(付随対象著作物としての利用)等に係る規定、国立国会図書館による図書館資料の自動公衆送信に係る規定、公文書等の管理に関する法律等に基づく利用に係る規定の3点の整備が挙げられているようです。また、技術的保護手段に係る規定については、現行法上、著作権等の技術的保護手段の対象となっている保護技術(VHSなどに用いられている「信号付加方式」の技術)に加え、新たに暗号型技術(DVDなどに用いられている技術)についても技術的保護手段として位置づけ、その回避を規制するための規定の整備が挙げられているようです。
著作権法の一部を改正する法律案 (文部科学省のウェブサイト)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/detail/1318798.htm
今国会提出の著作権法改正案を公表、「技術的保護回避には罰則規定」など (ITpro 2012/3/16付けの記事)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20120316/386843/
著作権法改正案が国会に提出、「写り込み」は合法化、DVDリッピングは違法化 (INTERNET Watch 2012/3/16付けの記事)
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20120316_519448.html