2010年12月3日付けのNew York Times紙に、“Analyzing Literature by Words and Numbers”と題されたデジタル人文学に関する記事が掲載されています。この記事は、カレントアウェアネス-E184号に掲載の記事「E1123 – 「イズム」から「データ」へ デジタル人文学の進展」で紹介した、同紙のシリーズ記事の続きにあたるもののようです。記事では、米国のジョージ・メイソン大学のコーエン(Dan Cohen)氏とギブス(Fred Gibbs)氏による“Victorian Books”プロジェクトを中心に紹介しているようです。この“Victorian Books”は、フランス革命(1789年)から第一次世界大戦勃発(1914年)までの間に、英国で出版された図書のタイトルに、“God”や“love”等といったキーワードがどのように表われているかを分析し、当時の心性を明らかにしたものとのことです。また記事では、このようなデジタル人文学の研究手法に対する他の研究者からの期待とともに、データ分析が研究の主流となってしまうことに対する研究者からの危惧も記されており、そのほか、“Victorian Books”にも援助をした、Googleによるデジタル人文学プロジェクトへの助成に関する賛否等も掲載されています。そして記事では、コーエン氏のコメントとして、巨大な電子図書館の登場によって、有名な著者の本だけでなく、ほとんど、あるいは、すでに忘れ去られた作家の多くの著書も含めて、ヴィクトリア朝期の出版物を包括的に分析する可能性が初めて開かれたとの言葉も掲載されています。
Analyzing Literature by Words and Numbers (2010/12/3付け NY Timesの記事)
http://www.nytimes.com/2010/12/04/books/04victorian.html
Victorian Books
http://victorianbooks.org/
参考:
E1081 – Googleによるデジタル人文学への助成
http://current.ndl.go.jp/e1081
E1123 – 「イズム」から「データ」へ デジタル人文学の進展
http://current.ndl.go.jp/e1123