『カレントアウェアネス』40周年に寄せて / 羽入佐和子

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カレントアウェアネス
No.340 2019年6月20日

 

創刊40周年記念巻頭言

 

『カレントアウェアネス』40周年に寄せて

国立国会図書館長 羽入 佐和子

 

 『カレントアウェアネス』は今年8月に創刊40周年を迎えます。
 皆様のこれまでのご支援に心から感謝申し上げます。

 30周年記念号を2009年に刊行してから10年にすぎませんが、その間に社会状況は大きく変化しました。
 忘れられないのは2011年の東日本大震災です。当館も被災地のために何かできないか模索し、この年の12月の「カレントアウェアネス・ポータル」に東日本大震災関連の掲載記事が一覧できるページ「東日本大震災関連記事」を作成いたしました。東日本大震災に関して、現在は、震災記録等のポータルサイト「国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(ひなぎく)」を公開しております。
 自然災害はその後も各地で多発し、それに伴って、アーカイブは被害の記録を収集し保存し整えるだけでなく、災害の教訓をいかに役立てるかが重要な課題になっています。  

 40年前(1979年8月)に職員向けに刊行された『カレントアウェアネス』でしたが、刊行の10年後には館外向けに頒布を開始し、そのおよそ10年後にはメールマガジン『カレントアウェアネス-E』を創刊いたしました。さらに2006年には新たなウェブサイト「カレントアウェアネス・ポータル」を開設し、カレントアウェアネス・サービスの体系化を進めてまいりました。
 図書館情報の発信の役割を担うサービスとして冊子を刊行してから40年を経て、現在では年4回の季刊誌刊行に加え、「カレントアウェアネス・ポータル」で多くの情報を発信しています。このポータルには、原則月2回発行の『カレントアウェアネス-E』、毎営業日更新のニュースブログ「カレントアウェアネス-R」、そして、上記季刊誌の他、図書館界や図書館情報学に関する調査・研究報告も掲載し、このポータル全体へのアクセス件数は月平均60万件にも上ります。

 図書館関係者をはじめとする多くの方々のご支援をいただきながら、『カレントアウェアネス』はこうして40年間着実に成長を遂げてまいりました。最近発行の『カレントアウェアネス』の記事からは、今や図書館活動が多様化しつつあり、図書館が社会の変化に先駆的な役割を果たしてきていることが見て取れます。そして、被災記録のアーカイブに象徴されるように、図書館はこれまで以上に社会状況と密接に関わる活動体であることが求められているように思います。

 社会の著しい変化の中で、図書館が扱う情報の在り様は明らかに変容し、図書館には、単に情報基盤の一端を担うだけでなく、信頼性の高い情報を迅速に発信する役割が期待されています。『カレントアウェアネス』もこの役割を十分認識し、一層の充実に努めてまいりますので、引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 


羽入佐和子. 『カレントアウェアネス』40周年に寄せて. カレントアウェアネス. 2019, (340), p. 2.
http://current.ndl.go.jp/ca_no340_hanyu
DOI:
https://doi.org/10.11501/11299448