カレントアウェアネス
No.272 2002.06.20
小特集
日本情報の利用と提供−関係機関の紹介−
本号では,日本に関する情報(日本情報)に携わる国内外の3機関(北米日本研究図書館資料調整協議会(NCC),日本資料専門家欧州協会(EAJRS),アジア歴史資料センター)を取り上げ,各機関の方にその紹介をしていただくとともに,日本情報の利用や提供の現況について執筆していただいた。
海外における日本研究は,近年の学際化やグローバル化の影響を受け,対象範囲も内容も多様化の一途を辿っている。日本研究を支援する各機関においては,多様化する研究に対応するため,特に電子化資料の整備・提供と図書館,博物館,文書館,美術館等,多様な機関間の連携協力とが喫緊の課題となっている。
こうした課題の克服を目指し,2001年12月,国際交流基金主催,国際文化会館,国立国会図書館共催による「日本研究学術資料情報の利用整備に関する国際会議」が開かれた(会議の詳細は『国立国会図書館月報』平成14年4月号参照)。この会議は,国際交流基金が1997年以来5か年計画で取り組んできた「日本研究司書研修プログラム」の成果を踏まえて開催されたものである。「日本研究司書研修プログラム」は,海外からの日本情報へのアクセス保障や日本に関する情報提供の基盤整備を図る一助として開始され,日本情報に携わる司書同士のネットワーク構築にも大いに貢献してきた。今年度から3年間のプログラムの継続も決定している。
本特集の3名の執筆者は,いずれもこの会議の参加者である。各機関の取り組みを通して,国内外における日本情報の提供・整備に関する今後のあり方をとらえ直す契機になれば幸いである。