No.16 超高齢社会と図書館~生きがいづくりから認知症支援まで~

 本調査研究では、「高齢化社会における図書館サービス」をテーマとして取り上げました。

 日本社会の高齢化の急速な進展に対応して、外部機関と連携して高齢者にサービスを提供したり、地域の高齢者と協働してサービスを提供したりするなど、公共図書館のサービスと地域の高齢者との関係に新しい動向が見られます。このような背景を踏まえ、今回の調査研究では、高齢者との関係が先進的あるいは特徴的な図書館サービスを提供している公共図書館の事例をいくつか取り上げ、調査分析を行いました。

 具体的には、調査対象機関を3機関選定し、現地調査などの事例調査を行いました。また、事例調査対象の3機関のうち2機関について、サービス提供地域に居住する高齢者にインタビュー調査を行いました。報告書では、事例調査の3機関が提供しているサービスの概要や、サービスを実施するに至った経緯などを紹介しています。また、高齢者へのインタビュー調査の結果を踏まえ、高齢者の図書館利用の現状と今後のサービスのあり方について、6つの観点から考察しています。そのほか、日本の図書館サービスにおける高齢者の位置付けの変遷や、超高齢社会における図書館サービスの実態・課題など、超高齢社会と図書館についての論考を掲載しています。

 この調査研究の報告書が、地域社会の高齢者と図書館との関係を考えるすべての方々に広く活用されることを願っています。

リポート(全文、PDF)の閲覧は、国立国会図書館デジタルコレクションの掲載ページ

※EPUB形式の電子書籍でもご利用いただけます。
epubファイル(31.4MB, 221ページ)

【目次】

概要
Summary

第1章 調査研究の背景と目的

第2章 超高齢社会とは
2.1 高齢化の現状
2.2 超高齢社会の課題
2.3 未来へ繋ぐための「今」

第3章 図書館サービスにおける高齢者の位置づけの変遷
3.1 障害者サービスの中の高齢者
3.2 一つの利用者カテゴリーとしての高齢者
3.3 変化の要因

第4章 超高齢社会における図書館サービスの課題とこれから
4.1 高齢者を対象とした図書館サービスの実態
4.2 図書館における高齢者をとりまく課題
4.3 超高齢社会における図書館サービスに関するガイドライン
4.4 超高齢社会における図書館サービスのこれから

第5章 サード・エイジ:超高齢社会を支える高齢者と図書館
5.1 生涯学習社会とサード・エイジ
5.2 サード・エイジの図書館ニーズ
5.3 サード・エイジを対象とした図書館サービス
5.4 生涯学習拠点としての図書館

第6章 フォース・エイジ:認知症と図書館
6.1 高齢期における心身機能の低下
6.2 認知症とは
6.3 これからの認知症支援:Dementia Friendly Community に向けて
6.4 イギリスの図書館における認知症支援の取組み

第7章 ケーススタディ:超高齢社会における図書館サービス
7.1 高齢者が活躍する場としての図書館:横浜市立都筑図書館 「つづき図書館ファン倶楽部」
7.2 図書館からアプローチする認知症支援:川崎市立宮前図書館
7.3 福祉行政からアプローチする認知症支援:日向市大王谷コミュニティセンター図書室

第8章 高齢者の図書館サービス利用とニーズ
8.1 調査の概要
8.2 調査結果
8.3 考察

第9章 まとめ

謝辞

研究会等開催記録および委員名簿、協力者一覧
付録資料1 高齢者調査関連書類
付録資料2 高齢者と図書館に関する文献リスト