要約

要約


[調査目的]

 地域資料とは、地域レベルで過去に発生し現在まで保管されてきている資料と、現在地域で発生している資料の両方を含む概念であり、その範囲は、図書、雑誌、新聞、地図、パンフレットのような印刷資料(行政刊行物を含む)、写真、フィルム、マイクロ資料、磁気あるいは光媒体に記録された資料、さらに、文書・記録、美術品、博物資料などの現物資料のような多様なものを含んでいる。

 これらが、地域(都道府県レベルあるいは市町村レベル)の図書館を中心とした資料収集保存提供機関においてどのように扱われているかについて明らかにするために、日本で最初の全国調査を行った。


[調査方法]

 質問紙法によって、図書館調査と文書館・博物館・行政情報センター調査を行った。さらに、秋田県、沖縄県、滋賀県において実際に図書館、文書館、博物館等を対象に聞き取り調査を行い補った。


[調査結果]

 公立図書館は、図書館法によって総合的な資料収集保存提供機関として規定されている。調査の結果、図書、雑誌、新聞、地図といった印刷資料について、図書館は資料収集保存提供機関をめざしていることがわかった。歴史の古い図書館では、印刷資料以外にも一定の歴史的資料の蓄積があるが、それを生かすための経営資源が不足していた。同時代的に発生する資料についても、これを地域の活性化や市民の課題解決に生かすために積極的取り組んでいるところは、少なかった。

 都道府県や政令指定都市、県庁所在市レベルでは、歴史資料については文書館や博物館が担い、行政刊行物については行政情報センターが担い、文学資料は文学館が担うといった機能分担が進んでいる。市町村レベルでも、歴史的な資料や現物資料については、博物館だけでなく、資料館と呼ばれる施設や自治体史の編纂室のような施設があって、これらが互いに補い合いながら資料保存を担っている。

 だが図書館は全国の都道府県や市ではほぼ全数、町村でも半数の自治体に設置されていることから言っても、図書館をとりあえずの地域資料サービスの担い手として位置づけることはできるし、多くの場合そうなっていることが確認された。

 図書館のもつ地域出版物の書誌的機能については、まだ一部の図書館に限られているが、OPACの検索機能を工夫したり各種の書誌ツールをインターネットで公開したりする図書館が増えることで、比較的容易に地域書誌情報が入手できるシステムが可能になることがわかった。