カレントアウェアネス-E
No.132 2008.07.23
E816
2008年度ALA年次大会 <報告>
2008年6月26日から7月2日までの1週間,カリフォルニア州のアナハイムにおいて,第129回米国図書館協会(ALA)年次大会が開催された。ワシントンD.C.で開催された昨年の年次大会に続き,今年も2万人を超える図書館関係者が集い,図書館の財政問題,読書やリテラシー等の重要課題,最新技術の動向等について,活発な討議・情報交換を行った。
会場として,アナハイム・コンベンションセンターのほか,隣接のヒルトン,マリオット,ディズニーランドホテル等の施設も使用し,各会場同時並行で数十のプログラムが執り行われた。会議の模様や当日の主だったイベントは,例年どおり,大会期間中および終了後に配布されるCognotesと呼ばれる新聞やLibrary Journal誌によって参加者に伝えられた。またインターネットを使った即時的な情報共有も活発に促進され,Wikiを通じて会議の配布資料を共有したり,参加者によって撮影された多くの写真を,写真共有サイトFlickr(E443,E636,E788参照)上で「ALA2008」というタグを付けて共有したりするなど,新しい動きも見られた。
またALAが,ベライゾン財団(Verizon Foundation)から100万ドル(約1億円)の助成を受けて,リテラシー能力におけるゲームのインパクトに関する追跡調査と,図書館におけるゲームの全米的な展開に向けたモデル構築を行うプロジェクトを開始すると発表された。展示会場に設けられたゲームパビリオンでは,任天堂のWii等のゲーム機や,各種ボードゲーム,家具やカーペットなど,図書館でのゲームの提供サービス(E693参照)を促進する展示が行われた。
また,ネイティブアメリカンの子どもの英語および母国語のリテラシー能力の向上をテーマとするALA会長プログラムも開催され,ネイティブアメリカン出身として初めてALA会長を務めたロイ(Loriene Roy)氏のイニシアティブを印象付けるものとなった。
このほか,図書館向け家具などの製造を手がけるDemcoのスポンサーによるブックカート・ドリルチーム(注)・ワールドチャンピオンシップや,オンライン宿題支援サービス(CA1142参照)などをてがけるBrainfuseのスポンサーによる著名作家による講演会やサイン会が盛り上がりを見せたほか,各部局やラウンドテーブルのレセプションなど,様々な社交的イベントが並行して開催された。
(国立国会図書館 依田紀久)
(注)ブックカートを利用した集団創作ダンス。
Ref:
http://www.ala.org/ala/eventsandconferencesb/annual/2008a/home.cfm
http://www.ala.org/ala/pressreleases2008/june2008/verizon08.cfm
http://flickr.com/photos/tags/ala2008/
http://wikis.ala.org/annual2008/
http://www.ala.org/ala/pressreleases2008/june2008/AC08bookcartdrillteam.cfm
http://jp.youtube.com/watch?v=i2QZqucDGEs
CA1142
E443
E521
E636
E693
E788