E815 – IFLA,YA向け図書館サービスのガイドラインを改訂

カレントアウェアネス-E

No.132 2008.07.23

 

 E815

IFLA,YA向け図書館サービスのガイドラインを改訂

 

 国際図書館連盟(IFLA)はこのほど,1996年に作成したヤングアダルト(YA)向け図書館サービスの指針“Guidelines for Library Services for Young Adults”の改訂版を発表した。1996年のガイドラインは5節で構成されていたが,新ガイドラインは,6つの節と2種類の付録資料から成っており,内容が増補されている。

 第1節では,本ガイドラインはYA向け図書館サービス発展のためのフレームワークと基礎的要素を提供するものである,というガイドラインの目的を述べ,さらに,サービスを通じて子どもから大人への移行を支援するというYA向け図書館サービスの使命と,その目的を明らかにしている。

 第2節では,「YA」の定義,ニーズ,資料,サービス,プログラムと若者の参加(E796参照),スタッフについて述べている。図書館が備えるべき資料として電子ネットワークとデータベースが,サービスの推薦例としてインターネットへの自由なアクセスなどが,新たに挙げられている。

 第3節では,教育機関,文化機関,社会的サービスの提供機関など,他機関との連携の重要性について指摘している。

 第4節では,YA向け図書館サービスの企画と評価について述べている。サービスを評価する際の基本となる5つの基準として,(1)YA1人当たりの貸出冊数,(2)YA1人当たりの彼ら向け資料の購入費,(3)YA1人当たりの彼ら向け資料数,(4)回転率,(5)1人当たりのプログラム参加数,を挙げ,これらに加え,さらに12の評価基準の活用を推薦している。

 第5節では,マーケティングとプロモーションについて取り上げている。1996年のガイドラインでは,マーケティングという言葉しか用いられていなかったが,今回新たにプロモーションに関する記述が追加され,図書館で利用できるサービスについての認知をYA層に広めるための活動の重要性が指摘されている。

 第6節は,優れたYA向け図書館サービスの実践を集めた事例集となっている。

 「評価」についての記述が増え,1つの節を割いて優れた実践例を紹介していることに加え,付録として,サービスのセルフチェックリストとサービス/プログラムの開発に必要な資産の一覧を載せるなど,新ガイドラインは,YA向け図書館サービスの理念と実践の架橋,また実践の評価により重点を置いたものとなっている。

Ref:
http://www.ifla.org/VII/s10/pubs/Profrep107.pdf
http://www.ifla.org/VII/s10/pubs/guidelines-e.pdf
http://www.ifla.org/VII/s10/pubs/guidelines-jp.pdf
E796