カレントアウェアネス-E
No.121 2008.01.23
E744
ベトナムで第10回アジア電子図書館国際会議が開催される
第10回アジア電子図書館国際会議(10th International Conference on Asian Digital Libraries:ICADL2007,E587参照)が,世界27か国から約300名の参加者を集め,ベトナム・ハノイの国際会議場を会場として,2007年12月10日から13日の4日間にわたって開催された。
会議1日目は,ニュージーランドデジタルライブラリプロジェクトのディレクターであるウィッテン(Ian Witten)教授による,オープンソースのデジタルライブラリソフトウエア“Greenstone”についての実機を使っての説明と,バージニア工科大学のフォックス(Edward Fox)教授によるデジタルライブラリ入門など,3件のチュートリアルが行われた。また,ベトナムにおけるデジタルライブラリの開発状況についての特別セッションも開催された。
会議2日目から4日目には,5件の基調・招待講演,55件の論文発表(ポスターセッションを含む)が行われた。基調講演では,カリフォルニア大学ロサンゼルス校のチュー(Clara Chu)准教授が,アジアのような多様な民族・文化環境におけるデジタルライブラリの役割を積極的に訴えたほか,Internet Archives社のモーア(Gordon Mohr)氏,ハンナ(Kristine Hanna)氏によるウェブアーカイブの紹介などが行なわれた。
日本からは,7件の論文が発表され,中でも大分大学大学院生の劉佳氏,中島誠准教授,伊藤哲郎教授,による“BrowsReader:A System for Realizing a New Children’s Reading Environment in a Library”は最優秀学生論文賞を受賞した。また,最終日のPanel Discussion on Consortium of I-Schools in Asia-Pacific (CISAP)”では,筑波大学の杉本重雄教授が議長を務めた。
ユニークな趣向としては,会議3日目に“Research Speed Dating”と銘打って,会議参加者同士が集団お見合い形式で各自の研究を紹介しあい,共同研究の相手を探すというイベントが行われた。筆者も飛び入りで参加したところ,約30名の参加者が熱心に自分の研究内容を紹介していた。今回は東南アジア諸国からの参加者が目立ったが,どの参加者も熱心に聴講・質問をしており,この地域でのデジタルライブラリへの熱意が感じられた。
第11回となる次回は2008年12月2日から5日の日程で,インドネシアのバリで開催される。
(国立国会図書館:木目沢司)
Ref:
http://www.icadl.org/
http://icadl2007.vista.gov.vn/index.htm
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