E683 – 人から人へ,場所から場所へ「本が旅する」活動が日本へ本格進出

カレントアウェアネス-E

No.112 2007.08.29

 

 E683

人から人へ,場所から場所へ「本が旅する」活動が日本へ本格進出

 

 「こんにちは!僕は世界中を旅してるんだよ!さあ僕を読んで!そしてどこかへリリースしてよ!」。こんなメッセージが添えられた本と,日本各地の喫茶店で,公園で,駅で,いたるところで出会える日が来るかもしれない。

 2007年8月1日,本に世界を旅させる活動“Book Crossing”の日本公式サイト,ブッククロッシング・ジャパンが誕生した。Book Crossingは,Ron Hornbaker・かおり夫妻が,世界を旅するカメラの活動についてのウェブサイト“PhotoTag.org”にヒントを得て,2001年に米国でスタートさせた。いまや会員数は全世界で58万人弱,世界中を40万冊の本が旅している。なお,2007年8月28日現在,日本で会員登録している人の数は1,181人,61冊の本が日本国内を旅している。

 本が旅をするとはどういうことだろうか。Book Crossingには“3R(Register:登録する・Release:リリースする・Read:読む)”という原則がある。本の最初の持ち主が,Book Crossingのウェブサイトへ会員登録・本の登録をしてID番号(BCID)を取得し,BCIDや冒頭のメッセージなどが記されたステッカーをダウンロード後,プリントアウトして本へ貼る。その後,その本を知人へ手渡したり,町のどこかへ置いてくるなどしてリリースする。次に本を手にした人はその本を読む。そしてその人は最初の“R”に戻って,登録作業をし,ステッカーのBCIDをBook Crossingのウェブサイトで検索して,その本の旅歴を知るとともに,自分の感想や本の現在位置を書き込んだりできる。そしてまた本はリリースされる。この3Rが循環するプロセスのなかで,本が人から人へ,場所から場所へ旅を続けていくのである。

 現在のところ,ブッククロッシング・ジャパンからの会員登録が準備中であることもあって,同ウェブサイトから参加できる活動は限られているが,米国の本家Book Crossingでは以下のようなことが可能である。

  • Google Mapsで,今どんな本がどんな国を旅しているか見られる。
  • 自分が興味のある本をデータベースで検索して,本のステータスや今ある場所を確認したり,読んだ人の感想を閲覧でき,さらに気に入った本については,Amazonで買うことができる。
  • 自分のページを持ち,プロフィールを登録したり,“my shlef”としてこれまでに読んだ本,リリースした本等を公開したりできる。(会員登録が必要)
  • オンラインディスカッションや電子メールディスカッションに参加して,会員同士であるテーマについて話し合ったり,質問をし合ったりできる。(会員登録が必要)

 ウェブサイト上で会員たちはさまざまな情報を共有でき,LibraryThingに代表されるような愛書家向けソーシャルネットワーキングサービス(E616 参照)の要素も,Book Crossingは備えている。また,リリース中の本を集めて置いておくBook Crossing Zoneと呼ばれる場所を設ける活動もあり,ブッククロッシング・ジャパンでも,書店や飲食店等に協力を呼びかけている。

 Book Crossingの目標は,「世界全体を1つの図書館に(to make the whole world a library)」である。今後どれだけ活動が浸透し,その目標へと近づいていくのか注目される。

Ref:
http://www.bookcrossing.jp/
http://www.bookcrossing.com/
E616