E525 – NDIIPPの新しい展開(米国)

カレントアウェアネス-E

No.88 2006.08.02

 

 E525

NDIIPPの新しい展開(米国)

 

 米国議会図書館(LC)が実施している全米デジタル情報基盤整備・保存プログラム(NDIIPP; CA1502, E214, E256参照)の活動がめざましい。  

 2006年4月,LCは英国図書館(BL)とともに,電子ジャーナルの保存のためのフォーマットとして,米国医学図書館が開発した文書型定義(NLM DTD; E096参照)を採用すると発表した。NLM DTDはすでに多くの出版者やPortico(CA1597参照)で採用されており,両館の採用により標準化がさらに進むものと想定される。  

 続く6月には,スタンフォード大学と3年間協力する契約を結び,同大学が中心となって進めている図書館・出版社協同の学術情報保存イニシアチブ“CLOCKSS”(Controlled-LOCKSS; LOCKSSについてはCA1597参照)に対し,70万ドル(約8千万円)の助成を行うと発表した。CLOCKSSは,同イニシアチブに参加する図書館が,参加する出版社のコンテンツをすべて,購読していないコンテンツも含めて保存するというものである。保存されたコンテンツはダーク・アーカイブとして,出版社側の事情によるサービスの停止・中断といった場合に限り提供される。複数の図書館がそれぞれダーク・アーカイブを構築することで,学術情報は長期に,安全に保存されることになる。  

 さらに7月には,各国のテレビのニュース番組を収集し現地語で再配信している非営利の教育機関“SCOLA”への助成を発表するとともに,動画,音声,写真,絵画,挿絵,ゲーム,文学作品といったデジタルコンテンツの保存に関心のある民間の機関・団体を募集している。学術情報のみならず,さまざまなデジタル情報の保存に対し,LCの取り組みが拡大してきている。

 このほか,LCが2000年から行っているウェブサイト収集・保存プロジェクトを紹介するウェブサイト“Web Capture”も立ち上がっている。このプロジェクトでは現在,スーダンのダルフール危機,イラク戦争,2006年の中間選挙などのウェブサイトを収集しているという。

Ref:
http://www.digitalpreservation.gov/
http://www.loc.gov/today/pr/2006/06-097.html
http://www.loc.gov/today/pr/2006/06-129.html
http://www.lockss.org/clockss/
http://www.loc.gov/today/pr/2006/06-147.html
http://www.loc.gov/today/pr/2006/06-146.html
http://www.loc.gov/webcapture/
CA1502
CA1597
E096
E214
E256