カレントアウェアネス-E
No.373 2019.07.25
E2158
福井県立図書館の新システム:新機能の導入と連携の強化
福井県立図書館・高村美由紀(たかむらみゆき)
福井県立図書館は,福井県文書館,福井県ふるさと文学館3館で共同使用する新システムを,2019年4月に稼働した。
福井県立図書館のシステムは,1994年に図書館独自で導入していたが,2003年2月に福井県文書館,2015年2月に福井県ふるさと文学館が,同施設内に併設されることになり状況が変わった。2018年には,前回の更新から4年が経過し,次年度中にサーバ,クライアントともにOSのサポートが終了することによるシステム更新の時期に来ていた。さらに,スマートフォンを含むモバイル端末の普及が進み,インターネットを通じたサービスへの要求が高まり,3館及び当館の分館である若狭図書学習センターが所蔵する資料や情報を,より有効にかつ機能的に活用してもらうための仕組みが求められた。そこで,現行システムの機能を保持し,更新するとともに,新たなサービス展開を可能にする機能の導入と,ライブラリシステムとアーカイブシステムを連携させる次期システムの構築を図ることとなった。図書館・文書館・文学館といった3種類の施設を併設し,その機能を総合したシステムを構築している施設は他になかったため,2018年6月,プロポーザル(企画提案)方式により事業者を決定,同年秋,ライブラリシステムとアーカイブシステムを本県仕様とするためのカスタマイズを開始し,2019年4月から稼働した。
インターネットと館内サービスの充実を目的としたこのシステムの主な新機能は,以下のとおりとなる。
・スマートフォン対応
(1)スマートフォン画面での利用カード表示(資料の貸出等が可能)
(2)県内の公立図書館及び当館が協定を締結した大学等の図書館の横断検索画面のレスポンシブウェブデザイン化
・蔵書検索システム
(3)openBD(E1924参照)を活用した書影(表紙画像)の表示
(4)検索結果画面からのファセット検索機能(資料種別・状態区分・分類・出版年による絞込)
(5)借りた本の利用者本人による参照機能(本人による設定開始以降10年間分)
(6)アーカイブシステムに登録済みの行政刊行物PDF版の検索・印刷機能(稼働開始時約200冊。自宅から利用可能)
・県内の図書館の所蔵資料の取り寄せ
(7)横断検索画面からの県内の図書館の所蔵資料の取り寄せ申込(当館での受取)
・館内サービスの充実
(8)人工知能(AI)を活用した絵本検索システム「ぴたりえ」の全国初導入(稼働開始時約3,000タイトル)
この他にも,3館のウェブサイトの更新や,従来のサービスの拡充・改善を行った。県内の図書館職員ポータルの機能も有しており,県内図書館間の連携強化や情報の共有を図っている。
まだまだ課題は多いが,今回のシステム更新で3館の連携を進めることができた。これまでの図書館ネットワークに他機関のデータを追加し,今まで以上に県民に貢献できる図書館であれるよう職員一同精進していきたい。
Ref:
http://www2.pref.fukui.jp/press/view.php?cod=654960155384070275
http://www2.pref.fukui.jp/press/atfiles/pafa155407781939.pdf
https://www.library-archives.pref.fukui.lg.jp/tosyo/category/oshirase/11016.html
https://www.library-archives.pref.fukui.lg.jp/wo/opc_srh
https://www.library-archives.pref.fukui.lg.jp/wo/cross
https://www.ntt.co.jp/journal/1606/files/jn20160654.pdf
https://www.library-archives.pref.fukui.lg.jp/
https://www.library-archives.pref.fukui.lg.jp/tosyo/index.html
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