カレントアウェアネス-E
No.321 2017.03.09
E1891
東日本大震災後の図書館等をめぐる状況(2017/2/28現在)(2)
前稿(E1890参照)に続き,2016年7月中旬から2017年2月下旬までの東日本大震災後の図書館等をめぐる状況を紹介する。
●イベント,講演会,講習会,研究会など
7月15日,文化財防災ネットワークのウェブサイトに,2015年3月11日から17日まで開催された,第3回国連防災世界会議の枠組みにおける国際専門家会合「文化遺産と災害に強い地域社会」の報告書が公開された。公開された資料には,東日本大震災の被災文化遺産の救済と復旧にかかる一連の活動を振り返る「東京シンポジウム」の報告書などが含まれている。
http://ch-drm.nich.go.jp/result/report/第三回国連防災世界会議の枠組みにおける国際専
http://ch-drm.nich.go.jp/result/report/report04
http://ch-drm.nich.go.jp/information
7月22日から10月10日まで,三重県立図書館により,観光による熊本県,大分県及び東北地方の復興貢献を目的とし,三重県下の市町立図書館や大学図書館等が参加する「知る,行く,つながる。熊本・大分と東北」キャンペーンが開催された。
http://www.library.pref.mie.lg.jp/index.php?action=pages_view_main&active_action=journal_view_main_detail&post_id=1079&comment_flag=1&block_id=106#_106
http://www.library.pref.mie.lg.jp/?action=common_download_main&upload_id=2225
9月1日,岩手県立図書館が定期的に開催している館内見学ツアーを「語り継ぐあの日の図書館と『震災関連資料コーナー』」として特別開催した。
http://www.library.pref.iwate.jp/info/evecale/sanpo/201609.html#d20160901-1300
9月5日から9月10日まで,韓国で開催された第18回国際公文書館会議(ICA)大会で,福島県富岡町教育委員会の三瓶秀文氏と国立公文書館の筧雅貴氏によるパネル発表「アーカイブズと災害-東日本大震災から5年を迎えた日本の対応-」が行われた。
http://www.archives.go.jp/news/20151214120256.html
http://www.archives.go.jp/news/pdf/ica2016_jp_07.pdf
11月27日,岩手県の陸前高田市コミュニティホールで,「津波により被災した文化財の保存修復技術の構築と専門機関の連携に関するプロジェクト実行委員会」により,シンポジウム「よみがえる文化財と博物館の復興」が開催された。
https://www.j-muse.or.jp/02program/pdf/ootsunamitirashi.pdf?cat=10
https://www.j-muse.or.jp/02program/pdf/shinpo%20gaiyou.pdf?cat=10
12月11日,新潟大学災害・復興科学研究所が同大学で開催したシンポジウム「災害史研究と資料保存」で,東北大学災害科学国際研究所の蝦名裕一氏による「岩手県・宮城県における被災資料保全と歴史津波研究」と題した報告が行われた。
http://www.nhdr.niigata-u.ac.jp/pdf/flyer-201161211.pdf
12月13日,愛媛県の松山大学で,平成28年度松山大学図書館情報学講演会「図書館と震災―東日本大震災の経験から―」が開催され,元東北大学附属図書館情報サービス課長で国立情報学研究所図書館連携・協力室長の小陳左和子氏が講師を務めた。
https://www.matsuyama-u.ac.jp/soshiki/113/info0227.html
1月20日,国立国会図書館及び東北大学災害科学国際研究所の共催で,東北大学災害科学国際研究所多目的ホールにおいて,「平成28年度東日本大震災アーカイブ国際シンポジウム-震災から6年経過した震災アーカイブの進化と深化-」が開催された。
http://www.ndl.go.jp/jp/news/fy2016/1218332_2754.html
http://www.ndl.go.jp/jp/news/fy2016/__icsFiles/afieldfile/2016/11/18/pr161122.pdf
2月17日,岩手県立図書館で,第8回DAN(Digital Archive Network)ワークショップが開催された。東北大学災害科学国際研究所の柴山明寛氏による基調講演「震災アーカイブの解決すべき課題」に続き,岩手県から「いわて震災津波アーカイブの検討状況」,筑波大学杉本・永森研究室から「震災アーカイブの利活用性向上を目指したメタデータの分析」等が話題提供された。
http://www.mi3.or.jp/news/8dandigital-archive-network.html
2月17日から2月19日まで,はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト実行委員会が,福島県で,現地視察ツアー「福島・文化・文化財~被災地のミュージアムと文化財のこれから~」を実施した。
http://hamanakaaizu.jp/news/現地視察ツアー「福島・文化・文化財~被災地の.html
●刊行物
『放送研究と調査』782号(2016年7月)が,山口勝氏の記事「NHK文研フォーラム2016 シンポジウム 東日本大震災から5年“伝えて活かす”震災アーカイブのこれから」を掲載した。
http://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I027513086-00
『国立国会図書館月報』664/665号(2016年8/9月)が,「国立国会図書館資料のデジタル化(震災・災害関係資料を中心に)」と題した記事を掲載した。
http://doi.org/10.11501/10133196
『情報管理』59巻6号(2016年9月)が,柴山明寛氏の記事「視点 東日本大震災アーカイブ「みちのく震録伝」:自治体の震災アーカイブの連携と支援」を掲載した。
http://doi.org/10.1241/johokanri.59.399
『図書館雑誌』110巻9号(2016年9月)が,日本図書館協会東日本大震災対策委員会の記事「2015年度「Help-Toshokan」図書館支援隊活動・会計報告」を掲載した。
http://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I027585164-00
『博物館研究』580号(2016年10月)が,特集「復興への道と博物館の役割」を掲載した。
http://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I027689239-00
http://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I027689242-00
http://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I027689248-00
http://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I027689251-00
『新潟史学』74号(2016年10月)が,田中洋史氏の記事「連携展示「南相馬と長岡~絆の記憶と記録」の開催:東日本大震災資料を活用する広域連携の一事例」を掲載した。
http://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I027773651-00
岩手県立大学地域政策研究センター編『地域協働研究 研究成果報告集4【平成26年度教員提案型・後期/地域提案型・後期】【平成27年度教員提案型・前期/地域提案型・前期】』が10月27日に刊行され,富澤浩樹氏の記事「岩手県立図書館震災関連資料デジタルアーカイブズの利活用のあり方に関する研究」が掲載されている。
https://www.iwate-pu.ac.jp/contribution/houkokusyu4.html
https://www.iwate-pu.ac.jp/files/2768a4a98108c1452fa8df1c3423e678.pdf
『図書館雑誌』110巻11号(2016年11月)が,齋藤亜記子氏の記事「震災後再開館を迎えた小高図書館:再出発にふさわしい魅力ある図書館づくりを目指して」を掲載した。
http://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I027698580-00
『LRG』17号(2016年11月)が,猪谷千香氏の記事「猪谷千香の図書館エスノグラフィ 災害に強い図書館とは?復興する宮城県の名取市図書館」を掲載した。
http://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I027758906-00
『日本建築学会計画系論文集』81巻729号(2016年11月)が,中井孝幸氏,小野美咲氏,宮城喬平氏の記事「東日本大震災における浸水域の広がりからみた図書館利用の変化と図書館像:被災地における「場」としての図書館の施設計画に関する研究」を掲載した。
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/aija/81/729/_contents/-char/ja/
http://doi.org/10.3130/aija.81.2359
『アーカイブズ学研究』25号(2016年12月)が,村井源氏らの記事「東日本大震災後の文化財レスキュー活動日報の因子分析」を掲載した。
http://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I027851598-00
『情報管理』59巻10号(2017年1月)が,佐藤翔輔氏の記事「視点 東日本大震災アーカイブを使ってみた」を掲載した。
http://doi.org/10.1241/johokanri.59.690
『アーカイブズ』第63号(2017年2月20日)が,福島県富岡町教育委員会の三瓶秀文氏の記事「東日本大震災と原子力発電所事故からの文化財保全への取り組み」を掲載した。
http://www.archives.go.jp/publication/archives/category/no063
http://www.archives.go.jp/publication/archives/category/no063/5774.html
●被災地を支援する動き
名城大学(名古屋市)の「陸前高田市図書館再建プロジェクト」の継続・発展などを目的として2016年4月1日に設立された団体“Book-aid”が,7月から12月にかけて計3回,古本の回収活動を行い,売上を図書館再建の資金として陸前高田市に寄付した。
http://book-aid-meijo.businesscatalyst.com/団体概要.html
https://www.meijo-u.ac.jp/about/ms26/manabi/activity-e/detail.html?id=pT1jvM
7月23日から8月6日まで,東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)の仙台支社及び盛岡支社と<大震災>出版対策本部は,宮城県,小学館,集英社,講談社との共催により,東日本の東北本線,石巻線,釜石線,磐越東線で,各出版社のマンガをラッピングした「マンガでつなGO東北『コミックトレイン』」を運行した。
http://www.jr-morioka.com/cgi-bin/pdf/press/pdf_1466139481_1.pdf
http://www.shuppan-taisaku.jp/wp-content/uploads/2016/06/20160617_comictrain.pdf
8月18日,「東日本大震災被災地図書館情報交換会および支援情報交換会」が日本図書館協会で開催された。岩手,宮城,福島の県立図書館の市町村図書館支援担当者,saveMLAK,全国学校図書館協議会,<大震災>出版対策本部,日本親子読書センター,国立国会図書館,日本図書館協会震災対策委員会・災害対策委員会が参加し,被災地図書館の現況や支援活動実施機関・団体の活動報告などについて情報交換が行われた。
http://www.jla.or.jp//tabid/262/Default.aspx?itemid=2983
8月29日,一般社団法人日本レコード協会が,社会福祉法人全国社会福祉協議会及び日本図書館協会の協力のもと「2016年度レコード寄贈事業」を実施し,東日本大震災被災地の図書館101館に音楽CDを寄贈したことを発表した。
http://www.riaj.or.jp/news/id=192
9月1日,福島県立図書館が,新潟県立図書館古本再生市実行委員会及び新潟県立図書館から,東日本大震災被災地復興のため62冊の図書の寄贈を受けたことを発表した。
https://www.library.fks.ed.jp/ippan/library/kisokiroku.html
https://www.library.fks.ed.jp/ippan/home/backnumber.html
岩手県の大槌町教育委員会からの要請で日本図書館協会が助言を行い,9月17日から9月19日まで,盛岡大学(岩手県)及び関東学院大学(横浜市)も協力し,東日本大震災で被災した大槌町立大槌学園(小中一貫校)の学校図書室の仮設校舎から新校舎への移転作業支援が行われた。
http://www.jla.or.jp//tabid/262/Default.aspx?itemid=3025
http://www.morioka-u.ac.jp/library/news/2016libvol.php
http://shakai.kanto-gakuin.ac.jp/column/column-1013/
日本図書館協会は,2014年度・2015年度に続き,被災地図書館復興支援のために公益財団法人一ツ橋綜合財団から寄せられた寄附金300万円のうち200万円を「東日本大震災被災地図書館復興助成金」として,東日本大震災対策委員会が助成を希望する館を募集した。助成先は10館と決定した。
http://www.jla.or.jp//tabid/262/Default.aspx?itemid=3062
11月9日,北海道日本ハムファイターズが,読書促進全道キャンペーン「グラブを本に持ちかえて」の一環で,ファンから寄せられた書籍1,716冊を一般社団法人北海道ブックシェアリングに寄贈した。寄贈された書籍は,北海道ブックシェアリングから道内や東北被災地の保育所や公民館などに提供された。
http://www.fighters.co.jp/news/detail/6602.html
http://ameblo.jp/booksharing/entry-12217872320.html
12月9日,東日本大震災で被害を受けた学校図書館を支援するために2011年12月に開始した「学校図書館げんきプロジェクト」は,2016年9月に寄付金を用いた図書の寄贈を最後の学校に行って全ての活動を終了したと発表し,最終報告書をウェブサイトに掲載した。
http://www.j-sla.or.jp/shinsai/post-139.html
http://www.j-sla.or.jp/shinsai/genki-project.html
http://www.j-sla.or.jp/pdfs/news/sn/shinsai-files/genki-houkoku2016.10.31.pdf
1月5日及び6日,日本図書館協会東日本大震災対策委員会は,東日本大震災の津波で被害を受けた宮城県東松島市の宮戸小学校と野蒜小学校を統合した宮野森小学校で,仮設校舎から新校舎に運ばれた図書の配架等の作業を支援した。
http://www.jla.or.jp//tabid/262/Default.aspx?itemid=3143
関西館図書館協力課調査情報係