E1486 - Code4Lib JAPANカンファレンス宮城県南三陸町にて初の開催

カレントアウェアネス-E

No.246 2013.10.10

 

 E1486

Code4Lib JAPANカンファレンス宮城県南三陸町にて初の開催

 

 図書館関連のシステムに関する日本のコミュニティ“Code4Lib JAPAN”主催によるCode4Lib JAPANカンファレンスが,2013年8月31日から9月1日にかけて宮城県南三陸町にて行われた。初めての開催にも関わらず,全国各地から主催者の期待を上回る56名の参加を得て盛会のうちに終了した。参加者の半分以上は大学図書館や公共図書館でシステム管理以外を主務とする人たちであり,必ずしもシステムの運営や開発をしている人ばかりというわけではなかった。

 本カンファレンス開催のきっかけは,毎年2月に米国で開催されている会議Code4Lib Conference (E1033E1153E1270参照)に,3年前に初めて日本から筆者と高久雅生氏(現筑波大学)が参加し,この会議が図書館とシステムに関わる人々のためのコミュニティ形成に非常に有効そうだと身をもって感じたことに端を発している。また,この会議においてCode4Libの命名者で立ち上げメンバーの一人のチャドノフ(Dan Chudnov)氏と出会ったことも大きかった。彼から,会議の開催の経緯,工夫している点やコツなどについて聞けたからである。例えば,全員が同じ場にいて発表を聞き,議論し,情報共有できるようにすべてのセッションはシングルセッションで行なうことが重要だと考えていることなどである。その後,日本からのこの会議への参加は続き,2013年の会議の期間中に,日本からの参加者間で国内でも開催したいとの議論がまとまり,開催へむけて企画が動き出した。

 本カンファレンスの開催にあたっては,本家の会議を参考にして開催地選びやプログラム作成を行った。開催地については,会議の実行委員にsaveMLAK(CA1749参照)に関わっている者が多く,これを機にぜひ現在の東北に足を運んでもらいたいとの思いがあったこと,それに加え,海の幸が豊富でおいしい料理のある所という点もあり,宮城県南三陸町とした。またプログラムは,シングルセッションとし,基調講演,特別講演,招待講演を軸に,一般発表や,ライトニングトークとよばれるショートプレゼンテーションを織り交ぜた。

 基調講演は,大向一輝氏(国立情報学研究所)による「ライブラリサービスを支える技術」だった。CiNiiの運営や開発などの自身の経験を元に,Webサービスというのは非常に複雑な総合芸術であると述べた。Webサービスを実現するには様々な技術要素があり,多くの選択を迫られる。その選択肢の中から適切なものを選び取っていくには「はやい,やすい,うまい」の3つの観点が考えられるが,現実問題としては3つの中から2つまでしか同時に満たせないと考え,CiNiiの場合は「はやい」「やすい」を採用したと述べた。特別講演は,熊谷慎一郎氏(宮城県図書館)による「東日本大震災からの図書館の復旧・復興支援とITの活用」だった。東日本大震災時やその後の復旧過程について宮城県内の公共図書館の状況を解説し,また災害復旧時にITがどのように役立ったかについて自身の実践例を示しながら説明した。招待講演は,チャドノフ氏にお願いした。“Think Locally, Code Globally”というタイトルで,自身がどのように図書館やシステムに関わってきたか,なぜCode4Libを始めたか,なぜCode4Libが成功したかについての話があった。コミュニティに新しく入ってこようとする人を歓迎すること,緩やかな合意とまずは行動することの重要性などについて強調されたのが印象的であった。

 一般発表やライトニングトークには,選書ツールの開発や,公共図書館での震災アーカイブのための取り組みなど,図書館とシステムに関わる様々な観点からの発表があった。また会議終了後には,エクスカーションとして,南三陸町の現在の街並みを視察したり,南三陸町図書館の山内氏から震災当時や復興の様子を聞いたり,南三陸町図書館を見学したりした。さらにポストカンファレンスとして,来年以降のカンファレンス実施に向けてのブレインストーミングも行った。ここで,カンファレンスは来年も是非実施したいとの参加者の意向を共有した。

 参加者からは,今回のカンファレンスについて,図書館でシステムを担当したり,実際にプログラムを開発したりするような人が行くような会議で,自分は場違いかもしれないと思っていたが,全然違ったとの声があった。また,システムやプログラムに精通していなくても,よりよいシステムを作っていくには自分なりにできることがあると勇気づけられたといった声もあった。

 筆者は,よりよいシステムとサービスを開発していくには,目録担当者やレファレンス担当者など,システム開発者以外の様々な関係者が相互に理解し,意思疎通をしていくことが重要と考えている。またカンファレンスは,そのための手段の1つとして有効なのではないかと思っている。来年のカンファレンスには,今回は参加できなかった方にもぜひ参加してほしい。なお,今回の講演等の内容は録画され,インターネット上で公開されている。

(国立教育政策研究所・江草由佳)

Ref:
http://wiki.code4lib.jp/wiki/C4ljp2013
https://www.facebook.com/events/508858532486640/
http://www.code4lib.jp/
http://www.ustream.tv/channel/code4lib-japan-2013
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.668925779787217.1073741827.204462619566871&type=1
http://togetter.com/li/556778
https://www.facebook.com/events/312000325589268/
http://togetter.com/li/476714
http://savemlak.jp/
http://swimlibrarian.hatenablog.jp/entry/2013/09/17/125643
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