E1077 – 「国立国会図書館ダブリンコアメタデータ記述」が公開

カレントアウェアネス-E

No.175 2010.07.22

 

 E1077

「国立国会図書館ダブリンコアメタデータ記述」が公開

 

 国立国会図書館(NDL)は,2010年6月30日に「国立国会図書館ダブリンコアメタデータ記述」(DC-NDL)をNDLのホームページで公開した。これは,2007年5月に策定した記述メタデータのスキーマである「国立国会図書館ダブリンコアメタデータ記述要素」(DC-NDL2007年版;E681参照)を改訂し,名称も改めたものである。

 今回の改訂の目的は,(1) メタデータにおける最新の国際的な動向を反映すること,(2) 2012年に本格リリースを予定している新しい情報探索サービス,インターネット資料収集保存事業の進展,大規模デジタル化など,NDLにおけるメタデータをめぐる状況の変化に対応することの2点である。

 ダブリンコア(Dublin Core:DC)は,15の基本要素からなるシンプルなメタデータ規則として広く普及し,その後,DCの維持管理組織であるDublin Core Metadata Initiative(DCMI)の下で,Abstract Model,Application Profileなど,メタデータの相互運用性を担保するための基礎的なモデルが整備された。これらのモデルを踏まえ,記述要素のレベルでの相互運用性の向上を目的として,Dublin Core Metadata Element Setの見直しが進められた後,2008年1月に,語彙の拡充,語彙の定義の見直しと使用範囲の明確化,概念関係の整理を行ったDublin Core Metadata Termsが公開された。また,Dublin Core Metadata TermsにRDF(Resource Description Framework)のモデルが取り入れられ,RDFによるDCメタデータの表現方法を示したドキュメントが勧告されるなど,DCはセマンティックウェブへの志向を強めている。

 こうした国際的な動向に対応するため,以下のとおりDC-NDLの改訂を行った。

 まず,上述のApplication Profileにより,語彙の意味(セマンティックス)定義と語彙の使用法(シンタックス)の規定を分離することが,モデルとして明確に示されたことを受け,DC-NDL2007年版を「NDL Metadata Terms」と「Application Profile」の2つに分割した。「NDL Metadata Terms」とは,NDLが独自に定義した語彙をまとめたものであり,「Application Profile」とは,DCMIが定義した語彙とNDLが独自に定義した語彙双方の使用法を定めたものである。

 また,NDL Metadata Termsの各語彙について,DCMI Metadata Termsにならい,記述対象リソースの範囲を指定する定義域と,取りうる値の範囲を指定する値域を設定し,記述要素の上下関係の整理を行った。また,RDFに対応するため,RDFを用いた表現例を示したほか,NDL独自の語彙を定義したRDFスキーマを用意した。これによりDC-NDLを,NDL Metadata Terms,Application Profile,RDFスキーマの3部立てとした。  そのほか,DC-NDLでは,より充実したメタデータの検索を可能にするため,MARCレベルの情報を可能な限り保持できるように語彙を増強したほか,NDLのサービスやシステムの要件を実現するために必要な語彙も追加した。記事レベルのメタデータ記述に必要な語彙の追加,資料種別を表現するための語彙の策定も,今回の改訂で行った。

 今後も,国際的な動向及びNDLにおける新しい情報探索サービスの状況の変化を踏まえて,適宜改訂を行う予定である。

(収集書誌部)

Ref:
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/meta.html
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/meta/2010/06/dcndl.pdf
E681