E054 – 「国民のネットワーク」によって英国の情報環境はどう変化したか

カレントアウェアネス-E

No.9 2003.02.19

 

 E054

「国民のネットワーク」によって英国の情報環境はどう変化したか

 

 全国の公共図書館をブロードバンドネットワークで接続し,国民の誰もがインターネットやオンライン情報サービスを利用できる情報環境を構築しようとする「国民のネットワーク(People’s Network)」プロジェクト( CA1394 参照)が開始されて6年が経過した。このプロジェクトを主導してきた博物館・文書館・図書館国家評議会(Resource,CA1382 参照)は,その成果の第1次調査報告書を2003年1月に発表した。

 2002年秋に全国の図書館行政庁を対象に実施した調査によれば,同年11月までに約19,000台のインターネット接続端末が全国の公共図書館に設置され,2,000館以上がブロードバンドネットワーク(2Mbps以上)に接続された。インターネット接続端末を無料で開放することによって,新規のインターネット利用者の獲得に成功しており,利用者の27%がはじめてインターネットを利用する人たちであった。また,各図書館でIT講習を実施しており,これには図書館員が大きな役割を果たしている。副次的効果として図書館の利用も増加しているという。Resourceはその成果を「静かな革命」と形容し,高く評価している。

Ref:
http://www.peoplesnetwork.gov.uk/news/pressreleasearticle.asp?id=245
http://www.nemlac.co.uk/page.php3?136
英国図書館情報委員会情報技術ワーキング・グループ.(永田治樹ほか訳) 新しい図書館:市民のネットワーク. 東京.日本図書館協会,2001,131p.
CA1394
CA1382